愛と憎しみが交錯する怪奇譚『怪談愛憎録』
2025年8月29日、株式会社竹書房から糸柳寿昭の新刊『怪談愛憎録』が発売される。この書籍は、実話怪談師である糸柳が独自に取材した人間模様を通して、深い闇とその背後にある愛や憎しみを描いている。
この『怪談愛憎録』には、読み手の心を揺さぶる49篇の体験談が収められている。ストーリーはさまざまであり、軽妙な語り口から始まるが、次第に読者を引き込む恐ろしさや悲しみが見え隠れする。
著者の糸柳は、長年にわたり全国各地の実話を集め、それを元にした怪談作品を発表してきた。彼が手がける怪談社のトークイベントでもお馴染みの存在であり、怪談に対する情熱がこの一冊にも表れている。彼の作品は、愛や憎しみを基にした心理描写が特徴的で、その奥深さが多くの読者を魅了してきた。
愛と憎しみが生む怪
本書に収められた体験談は、愛や憎しみが絡み合い、それらの感情がどのようにして恐怖へと変わっていくのかを描いている。たとえば、「土下座する義務の愛」では、廃ホテルで行われた肝試しの中で消える女性が恐ろしい行動を取る様子が描かれ、読者に衝撃を与える。他にも、隣人の異常行動を通じて新たな恐怖が発見される「隣人としての愛」や、親友との思い出が引き起こす悲劇、「友と建てた愛」など、愛情や友情が狂気へと変わる瞬間には思わず息を呑んでしまう。
怪奇譚の魅力
この書籍が特に注目されるのは、そのストーリーの幅広さだ。愛の形は多様であり、同時にその裏には憎悪や嫉妬も存在する。このダイナミックな人間模様が、怪談師である糸柳の手によって魅力的に描かれる。たとえば、「下劣な番組に贈る愛」では、価値観の変化を伴う不思議な出会いが展開され、一見日常の中に潜む非日常が巧みに構築されている。
また、「幕が閉じた愛」などでは、娘の隠された闇やその家に潜む人影が恐怖心を煽り、読者を引き込む。これにより、読者は単なる恐怖を感じるだけでなく、人の心の深い部分に触れることができる。
書誌情報
『怪談愛憎録』は、320ページの文庫本として2025年8月29日に発売され、予価は908円(税別)。この本は、恐怖だけではなく感情の起伏をも体感できる作品であり、多くのファンを魅了すること間違いなしだ。
あなたもぜひ、糸柳寿昭が描く心かき乱す怪奇の世界に触れてみてはいかがだろうか。あなたの心も、この愛と憎しみの物語に揺さぶられることだろう。