鉄道歴史の旅
2025-04-11 12:07:40

鉄道を通じて読む近現代日本の歴史と人物の物語

原武史が語る鉄道を通じての歴史の旅



2025年4月11日、著者原武史の人気連載が待望の書籍化によって登場します。『歴史のダイヤグラム3号車――「あのとき」へのタイムトラベル』は、朝日新聞土曜別刷り「be」で連載された内容を新書化した第3巻です。今回は、鉄道というテーマを通し、歴史上の多彩な出来事や著名人との関わりを、当時の時刻表を切り口に探求しています。

鉄道とともに生きた日本の歴史



本書では、「時間」と「空間」をテーマにしながら、鉄道が運んださまざまな人々と出来事に焦点を当てています。昭和天皇や大正天皇、名作の作家や歴史に名を刻む政治家たちが、どのように鉄道と関わってきたのかが描かれています。タイトルからもわかるように、著者は「あのとき」という視点で、その時代の歴史を再考しています。

特に印象的なのは吉田茂に関するエピソードです。彼は1945年9月17日に外務大臣に任命される過程で、列車での乗り過ごしエピソードを経験しました。酩酊状態で目的地を見失い、結果的に熱海で一夜を過ごしたという滑稽なストーリーが、当時の日本の激動を反映しています。密接に結びついた政治と鉄道。その姿が、読者によって面白く紐解かれることでしょう。

多様なエピソードが織り成す歴史



著者は81のエピソードを紹介し、鉄道がどのように人々のつながりや歴史に影響を及ぼしてきたかを明らかにしています。特に印象に残るエピソードの一つには、美空ひばりの存在があります。彼女は1958年3月20日に夜行列車「彗星」に乗り、仕事の旅に出ました。当時の鉄道はストレスの少ない移動手段として重宝され、ひばりの公演や撮影のスケジュールにも重要な役割を果たしました。若いころには快適で、自由な移動ができた夜行列車も、年齢と共に辛さを伴うものになっていったのです。

また、佐藤栄作が旅行の際に楽しんだ「峠の釜めし」のエピソードも心温まります。彼は鉄道に乗ることで、普段の自動車移動では味わえない瞬間を経験し、駅弁を通じてその旅情を楽しんだのでしょう。これは、鉄道が単なる交通手段であるだけでなく、文化や生活に深く根付いた存在であることを示しています。

時刻表を通じて見える日本



本書では、著者がたくさんの調査を行い、当時の時刻表を元に具体的なエピソードを掘り下げています。時間が生み出す出来事の連鎖がどのように歴史を形成してきたのか。それは私たちにとっても興味深く、感慨深いものです。

鉄道が運ぶのは単なる物資や人々ではなく、過去からの貴重な歴史の瞬間でもあります。『歴史のダイヤグラム3号車』を手に取ることで、旅行を通じた時間の旅に誘われ、近現代日本の風景や人々の思いを再発見できるでしょう。著者の原武史氏が描く、多彩な視点からの歴史と鉄道の物語をぜひお楽しみください。

著者略歴



原武史氏は1962年に東京で生まれ、早稲田大学を卒業後、東京大学大学院を中退した後は名誉教授として教鞭を取っています。数々の受賞歴がある彼の著作は、日本の歴史や文化を多面的に探求するもので、広く知られる存在となっています。彼の新作『歴史のダイヤグラム3号車』も、ぜひとも手に入れてみてください。


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