心温まる音楽で母に感謝を伝える特別なコンサートレポート

Happy Mother’s Day！～母に感謝のコンサート2025 in TOKYO～オフィシャルレポート

2025年5月6日、東京のBunkamuraオーチャードホールにて「Happy Mother’s Day！～母に感謝のコンサート2025 in TOKYO～」が開催されました。このコンサートは、初開催から4年目を迎え、「この世界の全ての母親に感謝の思いを込めて、音楽の花束を贈ろう」というテーマのもと、多くの人々に親しまれるイベントとなっています。毎年のように思い出が増え、参加者からは「またここで会いたい」という声も多く聞かれます。

司会進行を務める内田也哉子さんと森山直太朗さんのコンビは4年連続で、息の合った進行で観客を楽しませていました。アットホームな雰囲気を作り出すために、ステージには森山の私物であるアンティーク風の椅子と机が置かれ、出演者たちもリラックスした様子でパフォーマンスを展開しました。まずトップバッターを飾った森山は、アコースティックギター1本で「さくら」を情感豊かに歌い上げます。そのファルセットが会場に響き渡り、素晴らしい始まりを演出しました。

次に歌われた「新世界」は、森山が20周年を迎えた際のデビュー20周年ツアーのテーマ曲であり、彼自身の思いを込めたバラードです。この曲は、森山自身の父とその母の思いが重なる深い内容で、須原杏Stringsの美しい演奏と共に高まる感動が広がりました。さらに、オフィシャルピアニスト・桑原あいさんを迎えて「アルデバラン」が演奏されると、上白石萌音さんがこの後に登場する期待感を誘います。

特に印象的だったのは、上白石さんがヒロインを演じたドラマ「カムカムエヴリバディ」の主題歌である「アルデバラン」の演奏でした。観客を巻き込んだ手拍子で盛り上がり、エンディングはゴスペルのような熱気に包まれました。

その後、森山が「ここオーチャードホールは、母が主戦場としている会場です」と話し、「Eternally～エターナリー～」を歌唱。母親である森山良子さんとの絆を感じさせるパフォーマンスが続き、桑原あいさんのピアノソロもまた素晴らしかったです。

二番手の藤原さくらさんは、チャーリー・チャップリンの名曲「Smile」を優れた歌声で披露。観客は彼女の豊かな低音に引き込まれ、続けてオリジナル曲「daybreak」を歌うと、やさしい雰囲気が会場に広がりました。

「大人になって、上京してから母を一人の人間として見られるようになった」と語る彼女や、いつも支えてくれる母への感謝を込めた「L-O-V-E」をジャジィなリズムで歌い上げ、森山と内田のトークも和やかな雰囲気を醸し出していました。

そして、三番手の大橋トリオさんが登場し、彼自身の優しい歌声で観客の心を掴みます。「はじまりの唄」や「ホルトノキ」は、親の視点から子供の成長を見守る内容で、聴く人に深く響く楽曲でした。アコースティックギターとピアノのハーモニーが心地よさを生み出し、自然体で語るトークも魅力的でした。

最後に、スペシャルシンガーの上白石萌音さんが登場し、大橋トリオとのデュエット「窓」が歌われると会場は感動に包まれます。彼女の歌声は観客を惹きつけ、歌と演技の見事な融合に誰もがうっとり。

内田もトークで母親とのエピソードを語りながら、母に感謝の気持ちを再確認。コンサートの最後に内田自身がスポットライトを浴び、自作のエッセイを朗読し、母への感謝が印象的なメッセージとして伝えられました。

コンサートはほぼ終盤にさしかかり、上白石がアカペラで「On The Sunny Side Of The Street」を歌い始めます。桑原あいのピアノと須原杏Stringsの演奏が付け加わり、まるでミュージカルのような華やかさを持ちました。

エンディングでは全出演者が集まり、「母に感謝のコンサート」のテーマソング「ロマンティーク」を全員で演奏。観客と共に温かな思い出を持ち寄り、またの再会を誓いながらコンサートは終幕します。

これまで以上に工夫を凝らした選曲と演出が印象的だった「Happy Mother’s Day!～母に感謝のコンサート2025 in TOKYO～」。来年の開催が待ち遠しいですね。会場を後にする際、赤いカーネーションを手にし、心温まる余韻を感じながら帰路につく参加者の姿が印象に残りました。

文＝宮本英夫
写真＝福岡諒祠（株式会社GEKKO）