新作絵本『あらしの島で』が待望の刊行
国際的に評価されている画家、シドニー・スミスの新作絵本『あらしの島で』が、2025年7月26日に偕成社から発売されることが発表された。シドニー・スミスは、この作品で初めてコルデコット賞受賞作家ブライアン・フロッカとのコラボレーションを果たし、それがどのように実現したのか、その背景も気になるところだ。
絵本誕生のきっかけ
この絵本が生まれる契機となったのは、ブライアン・フロッカのアトリエへの訪問。シドニー・スミスが友人であるブライアンを訪れた際、ブライアンがずっと温めていたストーリーを披露した。彼は「この作品には、自分の絵ではない気がする」と思ったそうだ。この言葉を聞いたシドニーは、その迫力と魅力に心をつかまれ、その場で絵を担当することを決めたのだ。このようなクリエイティブな対話が、素晴らしい作品を生み出すきっかけとなる。
『あらしの島で』のあらすじ
物語は、嵐が訪れる前の静かな海に兄妹が冒険に出かけるところから始まる。彼らは、岩に打ち寄せる大波や吹きすさぶ潮風を全身で感じながら、「もう、気が済んだ?それとも、まだ?」と声を掛け合い、手を引っ張り合いながら前進する。
しかし、やがて襲い来る本格的な嵐。その力強さと圧倒的な自然の描写は、ブライアン・フロッカの緻密な文章とシドニー・スミスの卓越したイラストによって表現されている。読者もその嵐を体感し、一緒に過ごした兄妹と共に、苦しくも美しい自然の力を感じ取ることができる。
読後、作品がもたらす安心感は格別で、新たな冒険を求める気持ちと同時に、何ものにも代えがたい心の平和を与えてくれる。これこそが絵本の持つ力なのだ。
シドニー・スミスの絵画世界に触れるチャンス
現在、板橋区立美術館では「2025イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」が開催中で、この企画の特別展示として、シドニー・スミスの絵本原画約50点が展示されている。展示は2025年6月27日から8月11日まで行われ、訪れる人々はその絵画の世界に直接触れることができる。詳細は
こちらから。
雑誌『イラストレーション』で特集も
また、7月17日に発売された雑誌「イラストレーション」9月号では、「シドニー・スミスの絵本」の特集が組まれている。彼の作品や背景に迫る内容が詰まっているので、ぜひチェックしてみてほしい。
総じて、シドニー・スミスによる新作絵本『あらしの島で』は、文学と視覚芸術の融合によって、子どもたちや大人に新たな感動を与える作品となる。それぞれの読者が、自身の心の中にある「嵐の瞬間」を想起させてくれるに違いない。