芥川賞に選ばれた『時の家』の魅力
2025年8月号の「群像」に掲載された、鳥山まことの小説『時の家』が、第174回芥川賞の候補作に選ばれました!この作品は、過去三代にわたる住人たちの記憶を紡ぎ出し、彼らの人生を鮮やかに描いています。
著者の鳥山さんは、最近2023年に「あるもの」で三田文學新人賞を受賞した新進気鋭の作家です。建築士として活躍しながら、作家としても才能を発揮し、本作は彼の初の単行本となります。すでにその完成度の高さが評価され、野間文芸新人賞も受賞するなど、彼の名は広がりを見せています。
『時の家』のストーリー
物語は、「訪問者」として登場する青年が、ある家の過去を訪れ、そこに住んでいた人たちの記憶を再生していく過程を描いています。初代の住人である建築士、藪さんが設計したその家は、細部にわたって美しさが宿り、その中には彼らの感情や思い出が深く刻まれています。
この家はただの住まいではなく、笑いや悲しみ、愛といった人間の感情が詰まった場所です。どんな時代の中でも、彼らの思い出が色濃く残る特別な場所として描かれています。訪問者は、家の壁や床、柱と向き合いながら、記憶を共有し、まるでその家に住んでいたかのような感覚を得るのです。
執筆の背景
鳥山さんは、著作を通じて、自身が建築士としての経験を反映させています。エッセイの中でも、彼は妻との自宅設計に関わる中で、完成していない家にすでに「多くの景色が内包されている」との思いを抱いたことが、創作のきっかけであったと語っています。小さな一軒家の中に宿る瞬間や思い出が、どのように人々の心に影響を与えるのか、それを知ることが作品のテーマとなっているのです。
読者からの反響
本作は、読者に強い感動を与えており、いくつもの感想が寄せられています。前述のように、記憶や時間の経過、家族の物語が細やかに描かれている点が高く評価されています。家の存在の深さや、住人の思い出の重みを体感できるとの声が多く、特に「死と会えないこと」について考えさせられる内容が印象的だとのコメントもいただいています。
この作品は、ただの小説ではなく、読者の心に響くような強いメッセージが込められています。過去や未来、家族にまつわる記憶と向き合わせることができ、その思いを共有することができる、本作の魅力は計り知れません。
著者のプロフィール
鳥山まことは1992年に兵庫県で生まれ、建築士の仕事をしながら、作家としても注目されています。本作『時の家』のほかにも、すでにいくつかの作品が発表されており、今後の活動から目が離せません!
書籍情報
鳥山まこと『時の家』は、2025年10月23日に講談社より発売されます。定価は2090円、144ページにわたる感動の物語をお見逃しなく!