戦後80年を迎える今、堀川理万子が描く新しい絵本
2025年、戦後80年を迎える夏、講談社絵本賞や小学館児童出版文化賞を受賞した著名な作家・堀川理万子が新たな絵本を発表する。その作品名は『いま、日本は戦争をしている─太平洋戦争のときの子どもたち─』。この絵本は、80年の歳月が流れた今、忘れ去られた戦争の記憶を再確認するためのものだ。7月9日に全国の書店およびネット書店で発売される。
この絵本では、空襲や原爆、引き揚げ、疎開といった戦争の真実を、当時の子どもたちの語りを通じて描いている。堀川は、実際に当時を生き抜いた17名の人々にインタビューを行い、彼らの目線で語られるリアルな体験を絵本の形にまとめた。各エピソードは一見開きごとに分かれ、大きな絵とともに内容が紹介されているため、自由に読み進めることができる仕様だ。特に、広島や東京、沖縄などからの生の声を特集した内容は、戦争の残酷さを感じさせる作品に仕上がっている。
絵本の制作背景
堀川理万子は、東京藝術大学を卒業した後、数々の展示や出版活動を行ってきた。彼女の作品には、戦争をテーマにしたものが多く、その背景には一貫して「戦争を忘れない」という強いメッセージが込められている。彼女は「この絵本を通じて、皆さんに戦争について一緒に考えてもらえたら」と語っている。絵本のページには全て総ルビがついており、若い世代から高齢者まで、幅広い年齢層に届くよう配慮されている。
堀川理万子絵画展示の開催
また、戦後80年に合わせて堀川理万子の絵画展と原画展も開催される。絵本の原画はもちろん、堀川の新作タブローも展覧される予定だ。展示会は東京と愛知で4会場で行われ、トークショーも予定されている。
- - 2025年7月9日〜15日:松坂屋上野店(東京都)
- - 2025年7月23日〜29日:松坂屋名古屋店(愛知県)
- - 2025年7月25日〜8月31日:銀座 教文館ナルニア国(東京都)
- - 2025年8月2日〜22日:丸善・丸の内本店(東京都)
絵本を通して伝えたいこと
堀川理万子の作品は、単なる戦争の記録書ではなく、当時の子どもたちの心情を丁寧に描写している。その中には、生きる希望や同世代へのメッセージが込められている。確かに過去の出来事だが、今を生きる私たちにとっても、その教訓は重要だ。絵本『いま、日本は戦争をしている』は、未来の世代に戦争の実像を伝え、考えるきっかけを提供する一冊となるだろう。堀川のメッセージには、戦後80年の今、戦争の問題がいかに私たちに関わっているかという問いかけが含まれている。彼女の作品を通じて、観覧者一人一人に、自分の意見を持ち、行動することの重要性を感じてもらいたい。
この絵本を手に取ることによって、過去を知り、未来を考えるきっかけとなれば幸いだ。今後も堀川理万子の活動から目が離せない。