自閉スペクトラム症の娘がパティシエとして成長するまでの軌跡
杉之原千里さんの著書『みいちゃんのお菓子工房12歳の店長兼パティシエ誕生 ~子育てのアンラーニング~』が、第29回日本自費出版文化賞の「個人誌部門賞」を受賞しました。この作品は、滋賀県近江八幡市にある「みいちゃんのお菓子工房」を舞台に、彼女の娘・みいちゃんの成長の物語を描いています。
みいちゃんの出発点
この物語は、学校に通うことが難しくなったみいちゃんとその家族の歩みを、母親の視点で記録したものです。みいちゃんは6歳のころに自閉スペクトラム症と診断され、その後も不安感や場面緘黙などの特性に悩むことになりました。教育の場での適応が難しい一方で、彼女は幼いころから情熱を持っていたお菓子作りにおいて、自らの力を発揮するようになります。
お菓子工房の開設
彼女が12歳のとき、自宅の一角に「みいちゃんのお菓子工房」がオープンしました。この開店は、学校に戻ることだけが目標ではなく、自分が愛することを通じて社会とつながり、自分自身の道を築く出発点となりました。お菓子作りを通じて人との交流を深め、次第に社会との接点を増やしていった彼女の姿は、多くの人に勇気と希望を与えます。
現実と向き合う姿
本書は、単なる成功物語ではありません。「できないこと」ではなく、「できること」を伸ばすという視点が重要です。学校に行けないことや人前で話せないこと、さらには本当に「普通」とされる社会に適応することが難しいという現状に直面しながら、杉之原さんはどのように家族全体で力を合わせてきたのか、その記録が描かれています。
少しずつの成功
お菓子を作ることで得た小さな成功が積み重なり、社会との接点が生まれました。他者への喜びを提供する中で、生きる力が育てられ、みいちゃんとその家族は、「できることから社会に出る」という人生の形を実現していきます。
受賞の背景
第29回日本自費出版文化賞には、全国から824点の作品が応募され、選考を経て7部門70点が入選しました。その中で、みいちゃんのお菓子工房は個人誌部門賞を受賞。在らしかった家庭の物語が、ついに全国に認められたことは、家族全体の努力と挑戦を象徴するものと言えるでしょう。
作者からのメッセージ
杉之原さんは、「本書を時代を超えて語り継がれ、次の世代の若者たちの道を拓く手助けになることを願っています」と語ります。親子の物語は一人の特別なものではなく、社会全体の希望にもなるのだ、と彼女は強調します。
TANEBIの設立
現在、杉之原さんは株式会社TANEBIを設立し、不登校や障がいを持つ人々が自分の「好き」を育て、社会との接点を築くための「TANEBI STORY」を展開しています。この取り組みは日本国内だけでなく、海外にも波及し始めています。
未来への道
みいちゃんのパティシエとしての挑戦から得た経験は、ただの一人の物語に終わることはありません。彼女の歩みを今後は他者とシェアし、共に生きる道を開いていくことが目指しています。TANEBIは、次世代へとつながる道を耕し続けることを誓います。
書籍情報
- - 書名: みいちゃんのお菓子工房12歳の店長兼パティシエ誕生 ~子育てのアンラーニング~
- - 著者: 杉之原千里
- - 発行日: 2024年2月
- - 内容: 不登校を経験した娘が、お菓子作りを通じて社会との接点を築き、自らの生き方を見つけるまでの家族の記録
- - 購入先: Amazon
日本自費出版文化賞について
日本自費出版文化賞は、1997年に創設され、商業出版では日の目を見ない素晴らしい自費出版物に光を当てることを目的とした活動です。約30年の歴史を持ち、地道な貢献が続けられています。
表彰式
- - 日時: 2026年11月7日(土)
- - 会場: アルカディア市ヶ谷(東京都千代田区)
このようなストーリーは、私たちが持つ可能性や夢を再確認させてくれます。みいちゃんと母親の挑戦、その真実の物語に触れることで、心に勇気が生まれることでしょう。