舞台《彼岸より》
2025-06-24 17:28:34

舞台《彼岸より》が生み出す新たなアートの可能性とは

舞台《彼岸より》が生み出す新たなアートの可能性とは



舞台作品《彼岸より》が、ダンサー田中泯と彫刻家名和晃平の初コラボレーションとして、2024年1月10日・11日の2日間にわたり山梨県甲府のYCC県民文化ホールで上演されます。これを記念したアートブックとレコードも同時にリリースされ、作品の深淵なテーマと美しい表現が再構成されます。

《彼岸より》は、身体と物質、此岸と彼岸、生と死といった根源的なテーマを扱っており、これまでにない新しいアートの境地を開く作品です。田中は1970年代から探求してきた「カラダ」と「世界」の関係性を、名和は彫刻と舞台美術を通じて具現化し、そこに音楽や照明など、他のクリエイターたちも参加することで、唯一無二の時空間を生み出しました。本書ではその舞台を写真とテキストで再演し、読者にその感覚を届けます。

舞台上では、泥や霧などの普遍的なモチーフが変化しながら空間を埋め尽くし、中でもハゲタカが象徴的に佇む姿が死と再生のテーマを仲介しています。このように、名和の舞台美術が生むダイナミックさと静寂さが交錯する空間で、田中の踊りと観る者の身体が一体となる瞬間が展開されるのです。

このアートブックは《彼岸より》の単なる記録に留まらず、2日間のみの特別な「出来事」として読者に響きかけます。ページをめくりながら、読者は彼岸と此岸の間に足を踏み入れ、踊りの気配を感じることができるでしょう。

また、寄稿には小崎哲哉氏が登場し、田中の踊りをロジェ・カイヨワの言葉を借りて「名づけられないもの」と評し、作品や田中、名和の表現を掘り下げています。このいわゆる「名づけられないもの」とは、私たち人間が言葉で理解しきれない側面を称しているのかもしれません。

音楽面でも、舞台のために制作されたオリジナルサウンドトラックを収録したアナログレコードがリリースされます。音楽家の原摩利彦は、田中の踊りに響き合う音を創り出し、《彼岸より》の特異な世界観と空気を作り上げました。彼は「石の音を入れてほしい」という田中の言葉をもとに、音を紡いでいきました。このように、舞台と音楽が一体となることで、現実と非現実の狭間に立つ深い体験が提供されるのです。

この作品は、単なる観劇体験ではなく、身体の感覚を研ぎ澄まし、あらゆる生命との繋がりを意識させる力を持っています。現代に生きる我々にとって、身体と物質、そしてそれらが交わる瞬間を見つめることは非常に重要なテーマです。

《彼岸より》は、私たちの「カラダ」を中心に据えた表現を通して、物質と精神、過去と未来を繋げる新たな試みとなっています。アートブックやレコードを手にしながら、この作品の中に軽やかに身を委ね、新しい発見を体験してみてはいかがでしょうか。未来のアートの可能性を感じる貴重な機会となることでしょう。


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