日本人作家にとっての新境地
王谷晶著『ババヤガの夜』が、アメリカで権威あるラムダ文学賞の最終候補に選ばれました。日付は2025年7月30日、英訳版"The Night of Baba Yaga"として選出されたこの作品は、LGBTQ+ミステリー部門でのノミネートです。これは、日本人作家として初めての快挙であり、文学界に新たな風を吹き込みました。
ラムダ文学賞とは
ラムダ文学賞は1989年に創設され、アメリカにおける最大のLGBTQ文学賞として広く知られています。著名な受賞者には、スーザン・ソンタグやパティ・スミスといった名立たる作家たちが名を連ねており、その影響力は非常に大きいです。今年の候補作は、法律や偽情報がLGBTQ+の物語を脅かす中で、その声の重要性と力強さを象徴的に示しています。
『ババヤガの夜』の魅力
王谷晶の『ババヤガの夜』は、2020年に『文藝』秋季号にて全文発表され、以降、単行本化や文庫化を経て、多くの読者に親しまれています。この作品は、依子という青年が暴力団の組長の娘の護衛を命じられるところから始まります。この奇妙な同居生活を通じて、二人の女性が互いの心の奥に潜む秘密に触れ合う様子が描かれており、物語が進むにつれて驚きの展開が待っています。特に、終盤で明かされる大胆な仕掛けは、読者を釘付けにさせることでしょう。
海外での展開と受賞の行方
『ババヤガの夜』は既にイギリスやアメリカ、韓国で発売され、ドイツ、イタリア、ブラジルなどでも出版が予定されています。国内の発行部数は、単行本、文庫、電子書籍を合わせて32万部を超え、その人気は衰えることがありません。さらに、ダガー賞受賞記念として、王谷晶と英訳者のサム・ベットによる初のトークイベントが実施予定です。
王谷晶とサム・ベット
王谷晶は1981年に東京都で生まれ、数々の著書を通じて独自の視点で物語を紡いでいます。彼女の作品には、深い人間ドラマが描かれ、特に女性の視点からのストーリーテリングが強く支持されています。一方、サム・ベットはアメリカ出身の翻訳者で、三島由紀夫や太宰治の翻訳でも知られています。彼の手による『ババヤガの夜』の翻訳は、多くの読者に新しい発見をもたらしています。
結論
ラムダ文学賞の受賞作の発表は10月4日を予定しています。この場面は、王谷晶の作品がどのように評価されるのか、大いに期待される瞬間です。日本文学の新たな歴史が刻まれる瞬間を見逃せません。