新刊『地域と寺院―まちに開き、まちを拓く―』全2巻が発行
2025年3月15日、大正大学から新刊書籍『地域と寺院―まちに開き、まちを拓く―』の全2巻が登場しました。この本は、少子高齢化や過疎化、さらには自然災害が影響をもたらす現代の日本社会において、寺院が直面する変化とその役割について深く検討しています。特に、信仰心の薄れや宗教に対する無関心といった厳しい現実にもかかわらず、寺院が如何にして地域と共生し、未来を切り拓いているのかが主なテーマです。
現在の寺院を取り巻く状況
日本の社会状況は急速に変化しています。特に近年は、供養の簡略化や葬儀の省略、さらにはお墓の整理や寺院からの離反などが目立ち、かつて「社会の資源」と考えられていた寺院の運営が危機に瀕しています。この書籍では、寺院がどのようにして地域社会と結びつき、様々な課題に取り組んでいるのかを多様な事例を通じて紹介しています。
様々なモデルを紹介
本書『地域と寺院』では、地域の寺院が生き残りをかけて取り組んできた事例を、以下の4つのアプローチに分類しています。
1.
地域力集約・協働型
寺院の内外で、地域の人々が一緒にイベントを開催し、コミュニティの力を集結させるモデルです。これにより地域の絆が深まることが期待されています。
2.
縁結び型
寺院が提供する催しを通じて、今まで交流のなかった地域住民同士がつながるストーリーです。これにより新たな人間関係が育まれ、地域の活性化が図られます。
3.
課題発見型
日常的な交流の中で地域の問題を発見し、より良い解決策を模索するプロセスです。寺院がこの役割を担うことにより、地域のニーズに応じた支援が提供されます。
4.
課題解決型
具体的な地域の課題に対して、何らかの組織化された行動を通じてアプローチします。このアクションを通じて、地域課題の解決に貢献する努力が求められています。
これらのモデルは、地域社会における寺院の新しい可能性を示唆しており、地域に必要とされる存在としての寺院の在り方が重点的に議論されています。
月刊『地域寺院』の背景
本書は、月刊『地域寺院』の巻頭特集を基にしています。この誌は、大正大学地域構想研究所及びBSR推進センターによって編集され、伝統的な仏教と社会貢献活動の評価、そして寺院の未来像を探るための実例を紹介してきました。しかし、令和6年3月に発行終了が決定され、最終号を迎えます。この新刊は、その締めくくりとして非常に重要な役割を担っていると言えるでしょう。
書籍情報
書名:地域と寺院―まちに開き、まちを拓く―(1)
- - 著者名:大正大学地域構想研究所・BSR推進センター編
- - 判型:B5判並製本オールカラー
- - ページ数:192ページ
- - 定価:2,970円(本体2,700円+税)
- - 発行年月日:2025年3月15日
- - ISBNコード:ISBN978-4-909099-88-4
書名:地域と寺院―まちに開き、まちを拓く―(2)
- - 著者名:大正大学地域構想研究所・BSR推進センター編
- - 判型:B5判並製本オールカラー
- - ページ数:208ページ
- - 定価:2,970円(本体2,700円+税)
- - 発行年月日:2025年3月15日
- - ISBNコード:ISBN978-4-909099-89-1
寺院と地域社会の新しい関係を探る本作を通じて、これからの寺院の役割について、一緒に考えていきましょう。