デジタルハリウッド大学大学院の挑戦
デジタルハリウッド大学大学院(DHGS)は、2016年にスタートした「日本IPグローバルチャレンジ・プロジェクト」を通じて、国際的なアニメーション映画『Another World(世外)』を制作しました。この作品は、アヌシー国際アニメーション映画祭2025に正式出品されることが決まり、国際的な注目を集めています。
この映画は、小説『千年鬼』(西條奈加著)を原作としており、ジャンルはファンタジー。香港のアニメーションスタジオPOINT FIVE CREATIONS LIMITEDとの共同制作で、監督はトミー・カイ・チュン・ン氏、プロデューサーはポリー・ユン氏が担当しています。制作は2025年春を予定しており、すでに香港フィルマートで行われた国際企画コンテストで大賞を獲得したという背景も持っています。国際映画祭への出品を通じて、作品は世界各国での配給が予定されています。
作品詳細と魅力
『Another World(世外)』は、人間の記憶と魂をテーマに、幻想的な世界を舞台にした物語です。作品に舞い込むグドという精霊が、ユリという名の少女を導く過程で、人間の感情を理解しようと奮闘します。このストーリーラインは、日本の幻想文学に根ざしながらも、香港のアニメーション技術と融合して、新たな視点を提供しています。
物語は、死者の魂が「世外」と呼ばれる空間を旅するところから始まります。グドは、その魂を再生へと導く役割を担っており、ユリを通じて様々な感情に触れていきます。ユリの抱える怒りを抑え、変貌する危険を防ぐ任務は、グドにとって大きな試練となります。このような緊張感あふれるストーリー展開が、観客を魅了する要素となっています。
アヌシー国際アニメーション映画祭とは
アヌシー国際アニメーション映画祭は、1960年にフランスで創設された、アニメーションに特化した映画祭で、世界的に高い評価を受けています。毎年6月に開催され、長編・短編・テレビシリーズなど幅広いカテゴリーで優れた作品が選出されます。今回の出品は、デジタルハリウッド大学院の学生たちによる国際共同制作作品ということで、その意義は大きいとされています。
プロジェクトの背景
この映画が誕生した背景には、「日本IPグローバルチャレンジ・プロジェクト」があります。このプロジェクトは、日本の有望なコンテンツを海外市場へ発信することを目指しており、大学院の学生たちの手によって小説「千年鬼」が映像化されました。プロジェクトでは、デジタルハリウッドの留学生が協力して映像権利の取り決めやマーケット展開を行いました。
まとめ
本作『Another World(世外)』は、未来を担う若いアーティストたちの挑戦の象徴として、アヌシーの舞台に立つことが決まりました。彼らの活動が、今後の国際的なコラボレーションや文化交流の一環としてさらなる広がりを見せることが期待されています。デジタルハリウッド大学院の取り組みは、まさに日本のアニメーション制作に新たな風を吹き込むことになるでしょう。