ヴィム・ヴェンダースの幻のアートフィルム復刻プロジェクト
国内で最大級のクラウドファンディングプラットフォーム『MotionGallery』が、映画監督のヴィム・ヴェンダースの未公開アートフィルム『ドリーム・アイランド ーヴィム・ヴェンダースの失われた夢』を復刻するプロジェクトを発表し、資金調達をスタートしました。目標額は800万円、2025年5月15日までに達成することを目指しています。
本作は、ヴィム・ヴェンダースが「最高の作品」と称する映画『夢の涯てまでも』のために制作された“夢のシークエンス”を元に、東京を舞台にした実写のドラマ形式で、未公開のまま長い間忘れられてきた傑作です。ヴェンダース自身が出演・ナレーションを務めるこの作品には、彼が12歳の時に撮影した8mmフィルムも使用されており、ヴェンダースのアートにおける原点を辿る貴重な資料となります。この“夢のシークエンス”から派生した平面作品は、後に“エレクトロニク・ペインティング”として知られる表現手法の基礎ともなっており、ヴェンダースを語る上で外せない要素です。
幻の作品がなぜ復刻されるのか
『ドリーム・アイランド』はこれまで、映画『夢の涯てまでも』のレーザーディスクに特典映像として収録されただけで、観る手段は限られていました。しかし、2020年にヴェンダースから一通のメールが記録として残されており、彼自身が再びこの作品を見たかったと語っていました。このメールがきっかけとなり、復刻に向けた動きが加速したのです。プロジェクトの共同代表となる仲田早織氏は、プロジェクトへの関与をきっかけに、『ドリーム・アイランド』の撮影監督であった父、仲田能也氏の思い出を呼び起こし、本作の重要性を再認識しました。
仲田氏は、父と観たこの作品が持つ独自の視覚的美しさや夢の捉え方に感銘を受け、再び観ることができる機会が必要だと感じたと語っています。父が作品に込めた思いや、ヴェンダースの映像表現に対する熱意)が、彼女の活動を駆り立てているのです。
デジタルリマスター化に向けた取り組み
このプロジェクトでは、まず失われたとされていたオリジナルテープや16mmフィルムが見つかり、デジタルリマスター化のための作業が進められています。しかし、デジタル化には高額な費用がかかります。本プロジェクトが成功すれば、派生大作の制作を目指し、さらなるストーリーを掘り下げるドキュメンタリーの制作も視野に入れています。
資金調達の詳細
クラウドファンディングのリターンには、オンライン試写会やオリジナルグッズなど、さまざまな特典が用意されています。支援者には、作品の完成披露試写会への参加権や、ブルーレイディスク、特別な記念アイテムが贈られる予定です。
プロジェクトが目標を達成すれば、2025年6月にデジタルリマスターが開始され、2025年12月に完成披露試写会が実施される見込みです。
結論
このようなクラウドファンディングによって、ヴィム・ヴェンダースの貴重なアートフィルムが現代に蘇り、より多くの人々にその魅力が届くことが期待されています。このプロジェクトに参加し、幻の作品の復刻に貢献してみてはいかがでしょうか。詳細情報や支援方法は、特設サイトにて確認できます。