記憶の重要性、そして未来への問い
1945年、広島で起きた悲劇を語り継ぐための新たな一冊が登場します。
『Hiroshima Collection』は、戦後80年を迎えた今年、300点を超える貴重な被爆資料を集めた決定版写真集です。NHK出版から2025年7月28日に発売されるこの書籍は、予約受付中です。
この写真集は、原爆の猛威によって奪われた日常や、その痛ましい現実を伝えるモノクロプリントが特徴です。資料には、熔解したビンや焼け焦げた弁当箱、破損した学生服など、実際に被爆を経験した人々の証言による実相が含まれています。これらの資料は、被爆者やその家族が語った心情を文字で記録し、ビジュアルアプローチで見開きに配置されています。この構成によって、見る者は原爆がもたらした影響をより深く理解することができるのです。
時代を超えたメッセージ
核兵器の脅威が再び現実となりつつあるこの時代において、
『Hiroshima Collection』は原爆の恐ろしさを問い直すための重要な資料となります。著者の土田ヒロミ氏は、この作品を通じて、ヒロシマの惨劇が今なお人類にとっての「形見」として語られるべきであることを訴えています。彼の静謐なモノクロ写真は、日常を突然奪われた人々の痛みを伝え、核兵器に対する警鐘を鳴らしています。
この写真集は、日本語と英語の併記が施されており、多くの外国人読者にもメッセージが届くよう工夫されています。特に、広島平和記念資料館に寄贈された資料を基にしているため、資料の多くは被爆関係者の貴重な証言としての役割も果たしています。
特別展の開催
本書の発売に合わせて、土田ヒロミ氏の特別展「ヒロシマ・コレクション」が2025年6月28日から9月7日まで中之島香雪美術館で開催されます。この展覧会では、同じく多くの被爆資料を用いた展示が行われます。特別展での書籍販売は7月26日から予定されていますので、要チェックです。
著者について
土田ヒロミ氏は1939年生まれで、福井県出身の写真家です。過去数十年にわたって、ヒロシマを題材にした作品を発表してきました。その功績に対して、数々の賞を受賞しており、特に70年代にニューヨーク近代美術館のコレクションに作品が入るなど、国内外で高い評価を得ています。彼にとって、ヒロシマはライフワークであり、本書はその集大成とも言える作品です。
このように
『Hiroshima Collection』は、ただの写真集にとどまらず、未来へ向けた重要なメッセージをも含んでいます。核の恐怖を忘れず、過去の実相を知ることで、今後の平和の重要性を再認識することが求められています。今から発売を心待ちにしながら、手に取る日を楽しみにしたいものです。