山極寿一が説く「老い」の新たな思考法
2025年3月19日、株式会社文藝春秋から世界的に著名な霊長類学者・山極寿一さんの新刊『老いの思考法』が発売されました。この本は、70代に入った山極さんが初めて老いというテーマに取り組んだもので、700万年の進化の歴史と霊長類研究をもとに、人間だけが長い老年期を持つ理由を探ります。老いを社会的な意味や新たな見方から考え直す、感動的な内容となっています。
老いを“美しい”ものとして捉える新たな視点
老いの過程は、多くの人々にとって「さびしい」「苦しい」と感じられるものですが、山極さんはこの考え方を覆す新たな視点を提供します。本書には、老いることが美しさや威厳、和をもたらすというメッセージが込められています。また、ゴリラの生態を通じて、老いを理解するための貴重な教訓が語られています。
人間の老いの特異性
本書では、以下のような質問に答えています。
- - 人間はなぜ“人生後半戦”が長いのか?
- - 身体が弱くても大丈夫:河合雅雄から学ぶ創造性
- - 「離婚なんて怖くない」理由を知っていますか?
- - 狩猟採集民的な「学びのモデル」を復権する意義
- - 過去の記憶との出会い直しの特権とその喜び
特別対談イベントの開催
また、本書の刊行を記念して、著者の山極さんと思想家・内田樹さんとの特別対談イベントが開催されます。テーマは「サル化する社会でどう老いるのか?」。知の巨人たちが現代社会における老いについて語り合う貴重な機会です。
イベント情報
- - 日時:2025年4月3日(木)19:00~20:30
- - 場所:MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店 4階イベントスペース
- - 申込先:イベント申込ページ
著者のメッセージ
山極寿一さんは、「老い」は生物界の中で人間に特有の期間であると述べています。「老いは美しく、威厳に満ち、和をもたらす役割を持っていた」と語り、現代の老いに対する価値観を本来の本質に戻すことの重要性を強調しています。彼の言葉には、希望と共に老いに対する新たな魅力を感じることができます。
書誌情報
- - 出版社:株式会社 文藝春秋
- - 書名:『老いの思考法』
- - 著者:山極寿一
- - 発行日:2025年3月19日
- - 定価:1,650円(税込)
- - ISBN:978-4ー16ー391964-5
この本は、老いをネガティブに捉えているすべての人々に読んでほしい一冊です。年を取ることへの不安を和らげ、人生後半戦を「希望」に満ちたものにするための手助けになればと願っています。