日本航空を復活に導いた倒産弁護士の壮絶な戦いとは？『修羅場の王』

日本航空の復活の裏に隠された壮絶な物語

2010年1月、日本の航空業界に衝撃が走った。最も歴史のある航空会社、日本航空（JAL）が、驚愕の負債総額2兆3,200億円で倒産したのだ。この出来事は、単なる企業の破綻にとどまらず、インフラや観光、物流、雇用など多方面に影響を与える事態となった。このため、JALの復活は日本社会における緊急の課題となった。

わずか2年8ヶ月後、JALは驚異的なスピードで再上場を果たし、一時は日本の経営界に希望を与える存在となった。その再生の影には、無報酬で会長に就任した稲盛和夫氏の功績があることは広く知られている。しかし、稲盛氏が「実はこの人が全てをまとめ上げた」と称賛したのが、倒産弁護士・瀬戸英雄氏である。

瀬戸英雄氏の戦い

瀬戸氏は、日本における倒産専門家の中でも特に著名な存在である。彼はマイカル、ヒューザー、SFCG、ヤオハンといった多くの大企業の再生を手掛け、その実績から“倒産弁護士”の代名詞ともなっている。特にJALの再生に関しては、会社更生法という劇薬を適用し、複雑に絡み合った利害調整を主導していった。

株式会社の再建は容易な仕事ではない。特に、既得権益が渦巻く環境下、さらに当時の政治状況も影響を及ぼす中で、瀬戸氏はその手腕を発揮した。民主党政権下の日本には、再生計画が迷走する要因が多かったが、彼は的確な分析と行動によって、困難を乗り越えていった。

迫力のノンフィクション

本書『修羅場の王企業の死と再生を司る「倒産弁護士」142日の記録』は、瀬戸英雄氏の初の赤裸々な証言を軸に据え、当時の関係者への取材も交えた貴重な資料となっている。このビジネス・ノンフィクションを通じて、私たちは倒産プロフェッショナルたちやJALの社員たちの闘いの日々をリアルに体感できる。著者は大西康之氏であり、これまでの成功した取材や出版物から培った信頼性を基に、この壮絶な物語を展開している。

本書には、瀬戸氏が直面した様々な挑戦や、彼を成功へと導いた措置が描かれている。彼の言葉、「失敗しても、けじめをつけてやり直せばいい」からも読み取れるように、逆境に立ち向かう力が宿っている。

書籍情報

『修羅場の王企業の死と再生を司る「倒産弁護士」142日の記録』は、ダイヤモンド社から2025年10月に発売予定で、定価は2,200円。著者大西康之は、数々の著作を持つ実力派ジャーナリストであり、彼の鋭い視点と経験によって、この物語はより一層深みを増す。

この本を通じて、読者はJAL の復活劇に隠された真実や、瀬戸氏の持つ魅力とその戦略を学ぶことができるだろう。これは単なるビジネス書ではなく、逆境に立ち向かう全ての人に希望を与えてくれる一冊である。