「日本マーケティング本 大賞2025」に輝いた書籍
2023年10月12日、日本マーケティング学会主催の「日本マーケティング本 大賞2025」の授賞式が開催されました。この受賞式は、「マーケティングカンファレンス2025」の一部として行われ、3000名を超える学会員による投票によって選出された優れた書籍の発表が行われました。
大賞に輝いた『エフェクチュアル・シフト』
今年の大賞を受賞したのは、栗木契著の『エフェクチュアル・シフト:不確実性に企業家的機会を見いだすマーケティングの探求』です。この書籍は、エフェクチエーションの概念を基にした内容が特徴的で、ベンチャー企業から既存企業に至るまで、幅広い事例を通じて戦略立案やイノベーション創出のプロセスを示しています。特に、不確実性が高まる現代において、計画的な戦略と実験的、共創的なアプローチをどのように融合させるべきかを具体的に提示している点が評価されました。
推薦理由
本書は、学術的な視点と実務的な応用を両立させており、研究者には理論的な考察を、実務家には具体的な行動指針を提供します。具体的な事例を豊富に含むことで、理論を実務に結びつける役割を果たしており、企業の閉塞感を打破する可能性を秘めています。そのため、本書はマーケティング研究と実務、両方において大いに貢献しているとして、大賞にふさわしいと評価されたのです。
準大賞の著書
大賞に加え、準大賞には3冊が選ばれました。
1.
『ブランド・リレーションシップ』(久保田進彦著、有斐閣)
- ブランドとの関係性を学術的に提示し、消費者とブランドの結びつきを明確に示した内容が高く評価されました。ブランド力の低下に対する新たな視点を提供し、戦略を実践に落とし込むための具体的な枠組みも提案されています。
2.
『君は戦略を立てることができるか:視点と考え方を実感する4時間』(音部大輔著、宣伝会議)
- 戦略構築とは経営陣だけのものではないとし、あらゆる層が活用できる視点を提供した実践的なガイドです。理論と実務をつなげる意義深い書籍として、多くの支持を受けました。
3.
『岡田卓也の時代:公器の理念が支えた静かなる流通革命』(石井淳蔵著、碩学舎)
- 流通革命における新たな視座を提供し、公器の理念がビジネスにどのように応用されるかを探求した重要な著作です。
日本マーケティング本 大賞の意義
「日本マーケティング本 大賞」は、2018年から始まった取り組みで、マーケティングの理論や実践を普及させることを目的に設立されました。毎年、日本マーケティング学会の会員投票により、優れたマーケティング書籍が選出され、受賞者には名誉と共にマーケティングの知見を広める役割が期待されています。
このように、今年もさまざまな著書が数多くの関心を集め、多くの学びを提供しています。受賞著書を通じて、今後のマーケティングの展望が一層広がることを期待したいです。