日本翻訳者協会によるWebtoon翻訳現場の実態調査
最近、日本翻訳者協会(JAT)のエンターテインメント翻訳分科会Webtoonチームが、Webtoon(縦読み漫画)翻訳に従事する翻訳者を対象に実施した初の実態調査の結果が発表されました。調査は2025年7月から8月にかけて行われ、108名の翻訳者が参加しました。この結果は、Webtoon業界の働き方や報酬の実態を浮き彫りにし、業界の改善に向けた重要な資料となっています。
背景と目的
Webtoonは近年急速に人気を集め、翻訳の需要も高まりましたが、一方で新しいジャンルであるため、翻訳者の労働環境には多くの課題が残されています。この調査では、契約条件や報酬の不十分さ、業務内容の不明確さなど、翻訳者が直面する問題点を明らかにし、業界全体の取引環境改善を目指します。
調査結果の概要
回答者の構成
調査に参加した翻訳者の中で、韓日翻訳が約64%、中日翻訳が31%を占めています。また、経験年数は3年以上が半数を超え、年代別では30代が最も多いという結果です。性別においても、回答者の9割以上が女性でした。これらのデータはWebtoon翻訳の現場の実態を詳しく知るための基盤となります。
報酬について
調査結果によれば、1話当たりの翻訳報酬で最も多かったのは「3,000〜3,500円未満」という結果が出ました。加えて、作業時間は2時間が最も多く、次いで3時間でしたが、5時間以上かかるケースも少なくないという回答もあり、時給換算では最低賃金を下回る可能性が示唆されています。
トラブルの実情
翻訳者が直面するトラブルとして挙げられたのは、無償の周辺業務、急な納品スケジュール、追加報酬なしの修正対応などです。また、翻訳者名が記載されない、報酬の支払遅延なども問題視されています。こうしたトラブルの内容は、今後の業界改善に向けてしっかりと分析する必要があります。
翻訳者の対応
調査の結果、翻訳者が問題に対して「何もできなかった」と感じるケースが最も多かったことも明らかになりました。これに対して、同業者との情報共有や契約の見直しが必要な状況が浮き彫りになっています。
今後の展望
日本翻訳者協会は、この貴重な調査結果を基に、業界改善に向けた更なる活動を行う意向を示しています。具体的には、公正な取引や契約に関するセミナーの開催や、ポートフォリオに作品名を記載できる翻訳イベントなどを計画中です。
業界全体の働き方を向上させるために、翻訳者が感じる課題にしっかりと耳を傾けていくことが求められています。この調査結果が多くの翻訳者の声を代弁し、今後のWebtoon翻訳業界における変革のきっかけとなることを期待したいです。詳しい調査内容は、
こちらから確認できます。また、日本翻訳者協会の最新情報については
こちらをご覧ください。
日本翻訳者協会とは
日本翻訳者協会は、1985年に設立された特定非営利法人で、翻訳業界の発展を目指しています。東京都渋谷区に本拠を置き、翻訳者の権利確立や業界の基準整備に努めています。