NECとMBSが手がけた多言語動画制作アプリ
日本電気株式会社(NEC)と株式会社毎日放送(MBS)は、近年の情報発信の重要性を受け、多言語動画制作を大幅に効率化するWebアプリケーションを開発しました。これはNECが提供するAIアバターソリューションに生成AIを活用したプロトタイプで、実際の運用が2025年8月から始まります。
制作現場の課題と必要性の高まり
放送業界では、専門的な人材の不足が問題視されています。しかし、その一方で、観光業界におけるインバウンド対応や在留外国人に対する情報提供の必要性が高まる中、多言語対応のスキルを必要とされています。これに応じてNECは、AIアナウンサーを利用し、原稿を入力するだけで多言語動画を自動生成するサービスを提供してきましたが、翻訳作業などは依然として人の手が必要でした。
新アプリの利点と操作方法
今回のWebアプリは、日本語の原稿を入力することで、AIアナウンサーが自動で動画を生成し、従来の制作フローを大幅に短縮します。以下のような工程を1人の担当者が行うだけで、完了することが可能です:
1.
原稿の準備: 日本語原稿を入力し、AIの校正機能でチェック。簡易なメモ書きでも質の高い原稿に推敲可能。
2.
映像の準備: 手元にあるニュース映像や画像資料を使用し、スライドショー形式で動画を生成。
3.
メタ編集: AIが見出しやハッシュタグを自動生成し、要約文も支援。
4.
多言語編集: 編集内容を英語、中国語、韓国語、フランス語などにAIが迅速に翻訳。
5.
動画コンテンツ生成: 各言語に基づいたAIアナウンサーによる音声やアニメーション動画を自動作成。
6.
投稿: 各言語のハッシュタグや要約文を添付し、動画をSNSなどに投稿。
実証実験の成果
MBSは、このアプリを使用して「2025年日本国際博覧会」に関するニュース動画を多言語で制作する実証実験を行いました。従来ではアナウンサーの手配や翻訳、編集に多くの時間と人手がかかっていたところ、1人で約10分という短時間での動画制作が実現しました。この結果、制作工程の効率化が確認され、迅速に多言語情報が発信できる可能性が示されました。
今後の展望
NECは、このアプリの実証結果を受けて、さらなる機能の拡充と実用化を目指して進めていく予定です。放送業界の課題を解決し、多様な情報発信で業界に貢献する取り組みが期待されています。具体的な活用例は、2023年11月19日から21日に幕張メッセで開催されるInterBEEで紹介予定です。ここでは、MBSの実際の活用の声も聞くことができます。
NECの革新的な取り組みが、多言語動画制作の未来をどのように変えるのか、今後の展開に目が離せません。