木内昇氏の歴史小説『雪夢往来』が第52回大佛次郎賞受賞
2025年度の大佛次郎賞および大佛次郎論壇賞の受賞作が決まり、木内昇氏の『雪夢往来』が第52回大佛次郎賞を獲得しました。この作品は江戸後期の越後を舞台に、縮仲買商である鈴木牧之が雪国の風物や人々の暮らしを記した実在の文献『北越雪譜』を取り上げ、その成立までの40年にわたる歴史を描いています。
物語は、当時の戯作者たちとの関わりや、出版業界の裏側を描写しつつ、地方の人々がどのように夢を追い求めたのかを描くことで、より普遍的なテーマ「人は何をよりどころに生きるのか」を問うています。
木内昇氏は1967年に生まれ、出版社勤務を経た後、2004年に小説家としてデビューしました。彼はこれまでにも『漂砂のうたう』で直木賞や『櫛挽道守』でさまざまな文学賞を受賞しており、著作も多岐にわたっています。賞を受賞した『雪夢往来』は、その深い歴史的な考察と人間味のあるストーリーテリングで高く評価されています。
大佛次郎論壇賞には熊本史雄氏の『外務官僚たちの大東亜共栄圏』
さらに、大佛次郎論壇賞には熊本史雄氏の『外務官僚たちの大東亜共栄圏』が選ばれました。この作品は、外務省のエリート外交官が実際に「大東亜共栄圏」構想を主導していたことを明らかにし、外交の失敗を歴史的資料に基づいて詳しく検証しています。
熊本氏は1970年に山口県で生まれ、筑波大学大学院で博士課程を修了しました。彼は外務省外交史料館での勤務を経て、現在は駒沢大学で教授として教鞭を取っています。彼の専門は日本の政治や外交史であり、著書も多数あります。
受賞作品の意義と贈呈式について
この二つの受賞作は、文学や論考の世界での重要性を再認識させるものであり、受賞者たちの作品が将来にわたって多くの人々に読まれることを期待しています。贈呈式は2026年1月29日に東京都内で行われる予定で、「朝日賞」や「朝日スポーツ賞」、「大岡信賞」とともに盛大に開催されます。詳細な取材案内も後日発表される予定です。
大佛次郎賞について
大佛次郎賞は、散文作品としての優れた成績を認めるために1973年に創設されました。大佛次郎氏自身は「天皇の世紀」という作品を連載していた際に亡くなり、その功績をたたえる意味でこの賞が設立されました。後に、2001年には日本の政治や文化に関する論考を評価するために大佛次郎論壇賞も設立され、現在に至ります。
受賞作品についての詳細は公式サイトで確認できますので、ぜひご覧ください。