ダン・ブラウン新作『シークレット・オブ・シークレッツ』発表会で語った愛と意識の探求

ダン・ブラウン新作『シークレット・オブ・シークレッツ』発表会レポート

世界的に有名な作家ダン・ブラウン氏の新作『シークレット・オブ・シークレッツ』が、2025年11月6日に日本でも発売されることを記念して、チェコのプラハで記者会見が行われました。会場には国内外のメディアが集まり、ブラウン氏は作品のテーマや執筆に関する独自の視点を披露しました。

プラハの魅力を再確認

会見はプラハ・クレメンティヌム・ミラーチャペルで開催され、プラハ市長が登壇し、ブラウン氏に「プラハの鍵」を贈呈するシーンから始まりました。ブラウン氏はこの瞬間を、「これまでの記者会見の中で、最も荘厳なもの」と表現し、プラハという街への深い愛情を示しました。彼は『シークレット・オブ・シークレッツ』の舞台をプラハに選んだ理由として、この街が持つ独特の神秘性を挙げ、特に夜のカレル橋の雰囲気に魅了されたと語りました。

「プラハは、ラングドンにとって完璧な街です」と、ブラウン氏は続け、歴史的な文脈を交えながらプラハの神秘主義の歴史についても触れました。神秘主義者や錬金術師たちが集まった地であることから、読者にとっても興味深い背景が感じられる内容です。

『シークレット・オブ・シークレッツ』のテーマ

本作の中核をなすテーマは「人間の意識」。ブラウン氏は、このテーマをスリラー作品にすることの挑戦を「煙を抱きしめるようなもの」と巧みに表現しました。そして、様々な専門家への取材を通じて自らの意識に対する見方が変わったことも明かされました。特に「予知」に関する実験や、サヴァン症候群の事例を通じて、意識の理解がどう進化するかについての見解を述べました。

また、母の言葉を引用し、「科学と宗教は同じ物語を語る二つの言語」と語り、これらが互いに補完する可能性についても示唆しました。そんな深いテーマを扱った作品がどのように展開されるのか、今から楽しみです。

執筆の原動力

約8年ぶりの新作として、その執筆に際してプレッシャーを感じることはなかったのかを尋ねられたブラウン氏は、「執筆する力は才能ではなく根気が必要」と即答しました。自分が読みたい本を書くことが創作の原動力になっていると語り、自己の指向性を大切にしている姿勢が伺えます。

また、彼は特有の執筆ルーティンについても語り、週7日、朝4時に起きて執筆に取り組むという生活スタイルを明かしました。集中を保つために、1時間ごとに小休止を挟む工夫もしているそうです。

Netflixドラマ化の夢

さらに、現在進行中のNetflixでのドラマ化についても言及し、「全8チャプターから成る形で、描ききれなかった物語を“8時間の連続映画”として描きたい」と期待を寄せました。

会見の最後に、ラングドンに新たな恋愛要素が加わった理由を問われたブラウン氏は、「芸術は人生を映す」とし、自身の婚約者を会場に紹介しました。温かい拍手に包まれる中、ブラウン氏の作品に対する情熱がますます感じられる瞬間でした。

『シークレット・オブ・シークレッツ』は、2025年11月6日に日本版が刊行される予定です。注目の新作をぜひ手に取ってみてください。