王谷晶『ババヤガの夜』がダガー賞を受賞
王谷晶著の小説『ババヤガの夜』が、2025年7月4日、英語版『The Night of Baba Yaga』の翻訳者サム・ベットと共に、英国推理作家協会が主催するダガー賞の翻訳部門を受賞しました。この快挙は、日本人作家として初めてのことで、多くの読者からの熱い歓声が上がっています。
作品が生む力と影響
本作は、2020年秋に「文藝」誌で全文が発表され、同年10月には単行本として刊行されました。その後、2023年5月には文庫版が登場し、これまでの累計発行部数は32万部を超え、26万部の重版が決まりました。この作品は、多くの読者に感動を与えると同時に、その内容には深いメッセージが込められています。
物語の主人公、新道依子は喧嘩っ早い性格で、関東有数の暴力団の家で、組長の娘の送り迎えと護衛を命じられます。この二人の奇妙な同居生活の中で次第に明らかになる秘密や、最後に訪れる衝撃的な展開は一気に読者を引き込むものです。特に、女性同士の複雑な関係性が丁寧に描かれており、感情的な深みを感じさせます。
賞賛の声と重版決定
国内外で注目を浴びる『ババヤガの夜』には、翻訳版の発売を控えた国々、特にイギリス、アメリカ、韓国ではすでに発売され、多くの書評サイトでも高評価を得ています。ダガー賞の受賞もあって、その人気は衰えることを知りません。重版分は、2025年7月10日から納品が始まり、全国の書店に並ぶ予定となっています。
河出書房新社の代表取締役、小野寺優氏は「重版決定は大変喜ばしいことであり、作品に寄せられる期待の高さを実感しています」とコメントを寄せています。
王谷晶の思い
王谷晶は、「文章で世の中に火炎瓶を投げたい」と語っており、その表現は多くのファンに影響を与えています。また、彼女が一般公開したエッセイも高く評価されています。彼女の作品や思想に触れることで、読者は新たな視点を得ることができるでしょう。
作品の今後
今後の予定としては、イギリス版のさらなる国際的な評価と、行政や文化に与える影響が期待されています。また、ドイツ、イタリア、ブラジルでも出版が控えています。『ババヤガの夜』の魅力は、国際的にも広がりを見せており、これからも多くの読者の心を掴むことが予想されます。
この作品の冒頭27ページが公式ウェブサイトで無料公開中です。また、王谷晶の魂のエッセイも合わせて楽しむことで、彼女の作品に対する理解が一層深まることでしょう。日本の文学シーンを賑わせる王谷晶の活躍から目が離せません。