ストレスチェック実施の現状と健康経営への影響を探る調査結果

ストレスチェックの実施状況

近年、企業におけるストレスチェックの重要性が増しています。月刊総務が実施した調査によると、全体の76.6%の企業がストレスチェックを実施していることが明らかになりました。特に、従業員数が50名未満の企業においても、約24.4%が自主的に導入しています。これは、法令遵守やメンタルヘルスの重要性を認識している企業が増えたことを示しています。

ストレスチェックを行う理由

ストレスチェックを導入している企業の多くは、「法令遵守」が最も大きな理由とされています。90.0%がこの点を挙げ、次に「従業員のメンタルヘルスを守るため」が83.5%と続きました。実際に実施している企業の担当者からは、「ストレスが生産性を低下させるため」や「不調による長期休職を防ぐため」といった声も寄せられています。これにより、企業は従業員の健康管理に積極的に取り組む必要があると認識されています。

職場環境の改善状況

しかし、ストレスチェックの結果を職場環境の改善にどれだけ活用できているかというと、実際には16.5%の企業が「十分に実施できている」と答えているのに対し、43.5%が「実施しているが足りていない」、40.0%が「実施できていない」と回答しています。この現状は、ストレスチェックが形骸化している可能性を示唆しています。

メンタル不調者への対応

また、ストレスチェックを通じて「メンタル不調者の早期発見やフォローアップに活用している」と回答した企業が57.1%に達しました。この点において、ストレスチェックは企業にとっての重要な手段となっていることが分かります。早期発見を促進することで、従業員の健康を守るだけでなく、企業にとっても生産性向上に結びつくでしょう。

ストレスチェック義務化の認知度

一方で、2028年春にはすべての事業所にストレスチェックが義務化される予定ですが、4割以上の企業がこれを認知していないことが判明しました。特に、従業員数が50名未満の企業の中では、義務化に向けた準備がまだ進んでいない実態が浮かび上がっています。8割以上が「未着手」と回答し、67.6%が「全く情報を得られていない」とのことです。

メンタルヘルスケア施策

従業員数50名未満の企業の中で、ストレスチェック以外のメンタルヘルスケア施策を実施している企業は35.6%にとどまりました。中にはオンラインカウンセリングや相談窓口の外部委託といった施策を行っている企業もありますが、まだ十分とは言えません。他の施策も合わせて検討することが求められています。

総評

この調査からは、ストレスチェック制度が義務化対象外の企業においても広まりつつある一方、その結果を活用して職場環境を改善することができている企業は少なく、課題が残っていることが明らかになりました。企業は、ストレスチェックを単なる義務的な診断ではなく、職場の健康状態を測る指標として積極的に活用し、組織の改善に結びつけることが求められています。今後はストレスを溜めない働き方を設計し、制度に基づく対応だけでなく、企業文化の醸成も求められるでしょう。総務部門は、従業員の健康管理だけでなく、経営層との対話や課題の可視化を進める重要な役割を担っており、ストレスチェックをただの義務から、職場を改善するための重要なツールとして活用していくことが求められます。