声を守る新基盤
2025-11-14 12:18:33

日俳連が新たな音声データベース「J-VOX-PRO」設立し権利保護へ

日本の声を守る新たな取り組み



日本俳優連合(以下、日俳連)が新たな音声データベース「J-VOX-PRO(仮称)」を設立することを発表しました。伊藤忠商事および伊藤忠テクノソリューションズ株式会社と連携し、声優や俳優など声を生業とする実演家の音声を安全に保管し、適切に利用できる環境を整えていきます。この取り組みは、実演家の声を無断で模倣されたり、経済的権利が侵害されたりする現状を受けたものです。

声の現状と課題



近年、生成AI技術が急速に進展し、実演家の声を無許可で生成する事例が増えています。これにより、実演家の人格的権利や経済的権利が十分に守られていない状況が広がっています。このような無断利用の影響は金銭的な損失を越え、実演家の信頼や創作活動、さらには業界全体の健全な発展に悪影響を与えています。

日俳連は、2023年よりこの課題への具体的な取り組みを始め、2024年には「NOMORE無断生成AI」の活動に積極的に参画することで、実演家の声を知的財産として守っていく意向を示しています。

日俳連の具体的取り組み



日俳連の取り組みは以下の5つの柱に基づいて展開されます:

1. 不正利用対策:音声の無断合成や流通に対する通報体制を整備し、差し止めや損害賠償に向けた対応フローを構築。

2. 権利保護のためのガイドライン策定:実演家の意思表示や利用範囲を明確にし、契約書のひな形を整備することで、権利の保護を強化。

3. 政策提言と法整備の推進:業界横断的な協議を行い、ルール形成や合意形成を進めていきます。

4. 教育・啓発活動:実演家向けに契約や権利、AIリテラシーの教育機会を提供し、開発者やユーザーへの倫理啓発を促進します。

5. 音声の保管と利活用基盤の整備:実演家の意思に基づいた安全な音声保管・管理環境を構築し、その利用促進を図ります。

「J-VOX-PRO(仮称)」の取り組み



新たに設立される「J-VOX-PRO」は、実演家の音声を高品質な音源としてデータベース化し、日本文化資産の一環として大切に保管されます。このデータベースは法人利用を前提としており、企業や団体は所定の料金を支払い、合意された用途の範囲で音声データを利用できる仕組みです。

音声データの利用条件や料金は、実演家やプロダクションとの協議に基づいて明確にし、透明性の高い形で進めていきます。また、デジタル化された実演家自身の意思表示を活用し、音声データのセキュリティ技術として電子透かしや声紋による確認を行い、不正利用を防止します。

音声の利活用の可能性



「J-VOX-PRO」の立ち上げにより、実演家の音声は教育、医療、観光などの幅広い分野で利用されることが期待されます。具体的な例として、行政情報の配信や、高齢者向けの診療説明、多言語音声ガイドなど、多くのニーズに応える音声サービスの展開が考えられます。

さらには、音声および音声認識市場が2032年までに約13兆円規模に達すると予測されており、この新たな取り組みを通じて、日本にとどまらず、海外市場への展開も視野に入れた声のビジネスチャンスを広げることが期待されています。日俳連は、実演家の権利保護と収益機会の拡大に努め、伊藤忠商事は正規利用による新規事業創出を目指し、CTCは「J-VOX-PRO」を活用したサービス開発を力強く推進していきます。

日本の音声文化が新たな時代を迎え、実演家の声の価値がしっかりと守られる未来に期待が寄せられています。


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