新たな小説『アンチ・グッドモーニング』が芥川賞候補に
八木詠美の最新作『アンチ・グッドモーニング』が、第175回芥川龍之介賞の候補作に選出されました。これは、彼女にとって記念すべき第3作目となります。彼女のデビュー作『空芯手帳』は、世界26か国以上で翻訳され、多くの読者に支持されています。
作品紹介
『アンチ・グッドモーニング』は、8か月以上も不眠に悩む女性会社員・野上が主人公です。彼女は「眠れるなら死んでもいい」と過激な言葉さえ口にするほど、自分を見失ってしまっています。この作品は、忙しい会社生活と過剰なポジティブ思考に疲弊した現代女性の姿を描いています。
野上が勤める会社は、社員の健康を重視したルールを厳格に守っています。特に注目すべきは以下の3つのルールです。
1. チャットは即レス
2. スタンプは常にポジティブに
3. 批判より解決力が重視
これらのルールに従うことで、社員は一見健康的に見えますが、野上にとってはますます状況が厳しくなります。家では優しいはずの夫が、彼女の不眠を一緒に克服しようと、精神的なプレッシャーをかけてしまいます。彼は過剰な食事を提供し、さらには癒やしの流行りのレンタルニワトリ、『チャッピー』を借りるなど、彼女に寄り添おうとしますが、効果は全くありません。
不眠の救世主
そんな中、野上は会社のeラーニング動画を通じて、講師・出冬覚と出会います。彼は動画越しに「魂を少しいただければ、あなたを眠れるようにして差し上げます」と言い放ちます。この奇妙な提案は、彼女にとって新たな選択肢となります。
八木の新作は、デビュー作から一貫して描いてきたテーマ、すなわち現代社会における個人の苦悩に新たな視点を加えています。彼女は、不眠という形で現代人が抱えるストレスやプレッシャーを浮き彫りにし、それに立ち向かおうとする女性の姿を描きます。
期待がかかる作品の発売
『アンチ・グッドモーニング』は、2026年春季号の「文藝」に掲載され、単行本は2026年6月29日に発売予定です。これまでの作品同様、期待を裏切らない内容となることでしょう。八木詠美の独特な視点と、心の内面を巧みに捉えたストーリー展開に、多くの読者が引き込まれることが予想されます。
著者について
八木詠美は、1988年に長野県で生まれ、2020年にデビュー作『空芯手帳』で太宰治賞を受賞しました。彼女の作品は国際的に評価され、特に『空芯手帳』の英訳版“Diary of a Void”はニューヨーク・タイムズにも取り上げられました。2024年には『休館日の彼女たち』で河合隼雄物語賞を受賞し、その独自の視点と洗練された文体で多くのファンを魅了しています。
本作『アンチ・グッドモーニング』も多くの期待を集めており、現代社会に生きる人々の共感を呼ぶことでしょう。ぜひ、リリースを楽しみにしていてください。