人生の再出発を語る『生き直し』
2025年10月22日、光文社から刊行される待望の自伝的エッセイ『生き直し』。著者は日本思想史の第一人者、子安宣邦氏です。84歳にして妻を亡くし、88歳で76歳の女性と出会い、その後再婚するという波乱万丈な人生を描いています。この作品は、単なる個人の物語ではなく、人の生き直しの可能性を探る深い意味を持っています。
新たなる恋の芽生え
子安氏は、人生の最晩年に新たな愛を見つけました。婚相手は、映画監督で作家の松井久子さん。彼女の著作『疼くひと』や『最後のひと』などと同じく、人生の最期でも愛情や性の欲求がいかに重要であるかを説いています。寄り添うことで生まれる「生の欲動」を初めて感じた彼の言葉には、痛切なリアリティがあります。
学問と人生の交差
「学問一筋に生きてきた私は、米寿を迎えて初めて生の欲動に触れました。これが『生き直し』でなくて何だろう」と述べる子安氏は、哲学的な思考と個人的な経験がこれまでにない新しい視点を提供しています。彼の人生がいかにして思考を深め、また人としての成長を促したのか、興味深いエピソードが満載です。
自叙伝の魅力
本書は、人生を振り返りながら生き直しの実践を語る初の自叙伝です。子安氏は、学問の世界での成功と家庭内での葛藤、さらには老年の恋について、軽快な筆致で描き出します。特に彼の恋愛体験は、年齢を重ねることの意味や、それがどのように自分自身を再発見することに繋がるのか、豊かな示唆を与えています。
子安宣邦市民講座
本書の発売に際し、子安宣邦氏の市民講座も開催されます。11月1日、鎌倉商工会議所で行われる「鬼神論」の講義では、彼の思想が生き生きと表現されることでしょう。参加者は自身の目で、彼の思索を感じることができる貴重な機会です。
読者へのメッセージ
『生き直し』は、どのような年齢になっても新しい自分を見つけられる可能性について語っています。彼の語りは、年齢や経験に関わらず多くの人に共感を呼ぶことでしょう。最後まで読み進めることで、読者は自身の人生にも新たな希望を見出すことができるかもしれません。子安氏の温かい言葉が、私たちに勇気を与えてくれるのです。今、ぜひ書店に足を運んで、この感動の一冊を手に取ってみてはいかがでしょうか。