歴史の裏に隠された謎と真実
真保裕一氏が新たに書いた歴史小説『源家物語』が、7月2日に徳間書店から発売されます。この作品は、源義家という歴史的な武者に焦点を当てており、彼の生涯を通じて日本の武士の起源とその後の歴史に迫ります。
源義家とは誰か
源義家は平安時代後期に活動した武将であり、源氏の中でも特に有名な人物です。彼は藤原道長の没後、関東で発生した平忠常の乱を収束させるために派遣された源頼信の息子として、新たな武士の時代を築く一端を担いました。彼は、朝廷から「天下第一の武勇の士」と称賛される一方で、死後にはその戦闘行為を批判されることになります。
本作では、源義家の矛盾した評価や、彼がどうしてそのような評価を受けるに至ったのかをミステリとして描いていきます。作品を通して、義家の武者としての名声や、彼が直面した数々の陰謀、資源争い、家族との絡みなどが描かれ、読者を引き込む仕掛けが施されています。
あらすじ
物語は、平安時代の平安後期に舞台を移します。藤原道長の死去後、嫡男の頼通が関白に就任しますが、同時に関東では平忠常による乱が起こります。この乱を収めるために源頼信が派遣され、計略を駆使して見事に鎮圧を果たします。頼信の息子である義家は、この一連の出来事を経て成長していきます。
興味深いことに、義家の母は平氏の出身であり、義家が武士の時代を切り拓く中で、彼の足元には平氏との不可思議な関係が存在しています。このような背景を持つ義家が如何にして自身の運命を切り拓いていったのか、そして彼が平氏との因縁をどう受け止めたのかが見どころです。
義家は奥州での厳しい戦いを何度も乗り越え、名声を高めていきますが、その一方で彼を陥れる策略が企てられています。このように、本書は義家の生涯をただの歴史としてではなく、周囲の人間関係や陰謀を絡めた壮大な物語として展開します。
謎と真実の追求
真保氏は本作で数々の疑問を提示しています。例えば、義家が行った戦が本当に朝廷が見なしたような義家の「私戦」ではなかったのか、また義家の妹を配流した理由等、謎は尽きません。こうした問題を通じて著者は、劣悪な条件下で生き抜く武士たちの苦悩を描きつつ、読者に対して様々な歴史的考察を促す仕掛けを施しています。
著者の思い
真保裕一氏は、後記で「義家にまつわる疑問を深読みし、推理を加えることで本作品を書いた」と語っています。このような思考を反映した『源家物語』を通じて、読者もまた自身の知識を深め、歴史に対する理解が深まることでしょう。彼の作品は、ただのエンターテインメントに留まらず、深い考察の場ともなるのです。
書籍情報
本作は、全400ページ、四六判上製で、定価は2310円(税込)です。発売日は2025年7月2日で、特設サイトやAmazonでも購入できます。著者の真保裕一氏がどのように日本の歴史に新たな光を当てるのか、ぜひ手に取ってみてください。