第57回新潮新人賞が発表されました!
2023年10月7日、純文学の登竜門として名高い「新潮新人賞」の受賞者が発表されました。今年は広島県出身の内田ミチルさん(38歳)と、高校三年生の有賀未来さん(18歳)が選ばれ、その作品が注目されています。内田さんの受賞作は「赤いベスト」、有賀さんの作品は「あなたが走ったことないような坂道」というタイトルです。
作品の詳細
内田ミチル「赤いベスト」
今作では、認知症を患う母親が行方不明になった後、デイサービスを受けながらひとり暮らす女性・跡野の物語が描かれています。「赤いベストを着た女」という噂が地域で広がり、高齢者たちが恐れや不信感を抱く様子が描かれ、特に広島の方言が巧みに用いられています。選考委員の大澤信亮氏は、冷淡な視線で世間を見つめる人物の生々しい存在感を高く評価しました。
有賀未来「あなたが走ったことないような坂道」
もうひとつの受賞作は、香港生まれで日本語しか話せない星瑤(シンユ)が主人公の物語です。彼女は自らのアイデンティティや母、親友との関係性に混乱を抱えながら生きており、その内面的な葛藤がユーモアを交えた独特の文体で描き出されています。選考委員の金原ひとみ氏は、この作品が持つ躍動感と生々しさを絶賛しました。
新潮11月号の注目ポイント
受賞作の全文や受賞者の記念インタビュー、選考委員による選評も「新潮」11月号に掲載される予定です。この号には他にも、村上春樹氏の最新作「夏帆とシロアリの女王」や、角田光代氏と小川洋子氏の初対談も収録されており、本当に読み応えのある内容となっています。
応募作品数と選考結果
今回の新潮新人賞には、なんと2683作もの応募がありました。受賞作がその中で輝いたことは、両名にとって大きな誇りです。受賞者のプロフィールを紹介しておくと、内田ミチルさんは1987年生まれで東京学芸大学卒業後、相談援助職に従事しています。一方、有賀未来さんは2007年生まれで、現役の高校三年生です。
最後に
受賞作や選考の裏話、著名な作家たちのコメントなど、多彩な内容が詰まった「新潮」11月号にぜひ注目してください。10月7日から書店で購入可能です。新たな才能の登場を見逃すな!