サステナブルな水産業の実現へ、遠隔自動給餌システムの実証試験が始動

サステナブルな水産業の実現を視野に

2025年6月より、株式会社FOOD & LIFE COMPANIES（F&LC）、尾鷲物産株式会社、ヤンマーホールディングス株式会社（ヤンマーHD）の3社による「遠隔自動給餌システム」の共同実証試験が開始されました。この試験は、サステナブルな水産業の実現に向けて、新たなステップを踏むことを目的としています。

背景と課題

近年、養殖業への依存が高まる中、様々な課題が浮上しています。人手不足や給餌コストの上昇、そして夏季の海水温上昇による漁獲量への影響が特に深刻です。これらの状況に対処するため、技術革新が求められています。そこで、ヤンマーHDが開発した遠隔自動給餌システムが注目を集めています。このシステムは、エネルギーコストを低減できる新しい海水と餌を混合する給餌技術を取り入れ、将来的には沈下式生簀への適用も考慮されているのです。

具体的な実証試験内容

実証試験は三重県尾鷲市にある尾鷲物産のブリ養殖場で、約14,000尾を対象に行われます。実施期間は2025年6月から2026年1月を予定しており、成功すれば、2026年中にはF&LCが運営するスシローの一部店舗で販売されることも計画されています。これは、はっきりとしたサステナビリティのビジョンに基づくものです。

各社の役割

- F&LC: 養殖されたブリの食味分析を行い、品質を評価します。
- 尾鷲物産: 養殖場を提供し、ブリの育成、技術支援および評価を行います。
- ヤンマーHD: 遠隔自動給餌システムの開発および運用、実証データの取得と分析を行います。

目指す将来像

F&LCは、「毎日の美味しさを変え、世界に喜びを広める」というビジョンを掲げており、持続可能な水産物の調達を進めています。尾鷲物産も地域特性に合った先進的な養殖技術の開発に取り組んでおり、ヤンマーHDは「育てる漁業」を推進していきます。これらの取り組みにより、持続可能な水産経営モデルが確立されることを期待しています。

養殖関連技術について

ヤンマーグループは、養殖に関する高度な技術を導入しています。水中カメラを用いた魚影データの取得と分析、遠隔操縦技術の活用により、効率的な給餌が可能です。このシステムは人間工学に基づいて設計されており、複数の生簀を一目で確認できるHMI（Human Machine Interface）を採用しています。これにより、作業量の低減と給餌効率の向上が図られます。また、餌代の高騰が続く中、海水と餌の混合給餌技術を用いることで、コスト削減も期待されています。

結論

この実証試験は、サステナブルな水産業の未来を築くための重要な一歩です。F&LC、尾鷲物産、ヤンマーHDの三者が連携することで、養殖業の課題を克服し、持続可能なモードへと進化を遂げることができるでしょう。水産業が抱える様々な問題に対し、最先端の技術を駆使して、確かなソリューションを提供することが期待されます。これからの進展に目が離せません。