日本初の多言語あかちゃん絵本『いち にの さん!』
最近、日本において「多言語絵本」が注目を集めています。この多言語絵本とは、複数の言語で書かれた絵本を指し、特に多文化共生社会を目指す取り組みの一環として、さまざまな背景を持つ子どもたちに向けて作られています。その中でも特に注目を集めているのが、スギヤマカナヨ氏の新作『いち にの さん!』です。
幅広い言語で楽しめる
本作『いち にの さん!』は、日本語、中国語、ベトナム語、韓国語、フィリピーノ語、ポルトガル語、英語、ネパール語、スペイン語と、合計9つの言語で書かれています。これにより、多様な言語背景を持つ親子が同時に楽しむことができるのです。
この絵本の特徴の一つは、従来の絵本には見られないようなリズミカルな擬音表現が盛り込まれ、読者を楽しませます。例えば、「いち にの さん!」という合い言葉にのせて、黄色い「まるちゃん」が形を変えながら活躍します。その姿に思わず笑顔がこぼれることでしょう。
視覚的な工夫
多言語の文章になるとページが文字だらけになりがちですが、『いち にの さん!』ではそれを逆手に取り、デザインとしてビジュアルの一部としています。レインボーカラーの文字が絵本の展開を盛り上げ、多文化や多様性を強く印象づけています。これにより、絵とともに子どもたちが楽しく読んでいけるようになっています。
多文化共生の重要性
『いち にの さん!』は、まさに日本初の多言語あかちゃん絵本として、これからの世代のニーズに応える作品と言えるでしょう。著者のスギヤマカナヨさんは、「同じ本を介して、さまざまな子どもたちが一緒に楽しめる絵本を作りたい」と考え、多文化共生をテーマにした絵本を制作しました。
彼女の思いは、やはり日本における多文化共生の意義を反映しています。日本在住外国人は年々増えており、多様なルーツを持つ子どもたちに向けた絵本の必要性は増しています。これらの子どもたちが言語の壁を越え、愛情をもって育まれるための手助けをすることが本作の目的の一つでもあります。
手話動画や音声データの活用
また、本作には音声データや手話による読みきかせ動画も用意されており、どのように発音するかを具体的に知ることが可能です。視覚障害のある方にも配慮し、立体コピーやテキストデータを提供するとしています。これは、すべての子どもたちが平等に楽しめる絵本を実現するための、素晴らしい取り組みです。
書誌情報
- - 書名: いち にの さん!
- - 作: スギヤマカナヨ
- - 定価: 1,320円 (本体1,200円+税10%)
- - サイズ: 17.6×17.8cm
- - ページ数: 24ページ
- - ISBNコード: 978-4-494-02256-4
- - 発売日: 2025年7月7日
- - 対象: 0歳から
- - 出版社のホームページ: 童心社
このように『いち にの さん!』は、ただの絵本に留まらず、多文化や多言語の素晴らしさを伝える強力なツールとして、今後も多くの親子に愛されることでしょう。