国際ブッカー賞候補作『呪いのウサギ』がついに登場
株式会社竹書房は、2025年11月29日(土)にチョン・ボラ著、関谷敦子訳による短篇集『呪いのウサギ』を発売することを発表しました。この作品は、国際ブッカー賞の最終候補に選ばれたことでも話題を呼んでいます。韓国の奇才チョン・ボラによるこの異色の短編集には、様々な物語が詰まっており、思わず引き込まれてしまいます。
物語の背景と魅力
本書に収められた物語は、奇妙で幻想的な要素が満載で、痛みや孤独、その先に待つ美しくも甘美な破滅がテーマとなっています。表題作の「呪いのウサギ」では、親友をライバル会社の策略によって自殺に追い込まれた男が復讐を遂げる様子が描かれています。呪物を作る一族の家系に生まれた彼が生み出したウサギは、敵を容赦なく噛み砕いていく姿が象徴的です。
他にも「頭」では、意志を持つ排泄物が語りかける不可思議な現象が展開され、社会のリアルな一面を反映しているかのようです。妊娠の副作用に悩む女性の物語「月のもの」では、妊娠の父親候補を探すという奇妙な状況が描かれ、多くの読者の共感を得ることでしょう。
また、「さようなら、愛しい人」ではパートナー・ロボットとの異なる愛の形、そして「罠」では、黄金の血を流すキツネから得た富を巡る男の人生が描かれ、現代社会の競争の厳しさを物語っています。最後に「楽しい我が家」では、購入したビルに潜む様々なトラブルが描かれ、安心できる場所がどれほど脆くなり得るかを考えさせられます。
書誌情報
- - タイトル: 呪いのウサギ
- - 著者: チョン・ボラ
- - 訳者: 関谷敦子
- - 発売日: 2025年11月29日
- - 仕様: 文庫版、312ページ
- - 予価: 1,600円(税別)
- - 公式リンク: 株式会社竹書房
作家のプロフィール
チョン・ボラは、ロシア語やポーランド語の現代文学を韓国語に翻訳し、独自の視点で新しい作品を創り出しています。彼女の短編集『呪いのウサギ』は、2022年に国際ブッカー賞の最終候補作に選出され、さらに2023年には全米図書賞の最終候補となるなど、国際的に高く評価されています。
翻訳者の関谷敦子氏は、韓国語を学びながら、字幕翻訳や出版翻訳に取り組む多才な方です。彼女の手により、チョン・ボラ作品が日本でも広く知られるようになることを期待しています。
竹書房の紹介
1972年に設立された株式会社竹書房は、麻雀漫画誌や4コマ漫画の専門雑誌など、多岐にわたる書籍やコンテンツを提供しています。より多くの人々に文学の楽しさを届けるため、常に新しい作品の発表に力を入れています。著名な作品が多く登場する平行取引が行われており、今後の展開にも目が離せません。