異文化交流を描いた感動の往復書簡
2025年7月16日、株式会社大和書房から、著者尹雄大とイリナ・グリゴレによる新刊『ガラスと雪のように言葉が溶ける 在日韓国人三世とルーマニア人の往復書簡』が発売されます。この作品は、異なる文化的背景を持つ二人による手紙のやりとりを通じて、自らのルーツや言語について考察する内容です。
異なる文化を持つ二人の率直なやり取り
本書は、在日韓国人三世であるライターの尹雄大さんと、文化人類学者のイリナ・グリゴレさんが日本語で交わした往復書簡です。彼らはそれぞれ、異なる言語や文化の中で育ち、自分のルーツに向き合いながら、生きづらさや痛みを抱えてきました。特に、隣国の言葉を話せない彼らだからこそ、互いの言葉を通じてより深い理解を求める姿勢が印象的です。
例えば、尹さんは幼少期に感じた「自分のルーツ」に関する思いを、イリナさんは異国での生活を通じた身体感覚について率直に言葉にします。この展開は、読者にとっても、異文化を理解することの重要性を教えてくれるでしょう。
生きづらさとその克服
本書では、彼らの交流を通じて生まれる生きづらさについての考察も行われています。実際に、社会の中で異なる文化的背景を持つ彼らがどのようにして自らのルーツを受け止め、乗り越えようとするのかは非常に興味深く、胸に響く内容です。肝心の部分として、「生きづらさはどこからくるのか?何に傷ついてきたのか?」と問い直すことで、読者は自らの経験とも重ねながら考えることができるでしょう。
お互いに学び合う姿勢
また、彼らは異なる文化や言葉が持つ力を尊重し、お互いから学ぶ姿勢を持っています。これは、現代社会において異文化理解がますます求められている今、非常に意義深いメッセージを含んでいます。互いの「原風景」を知ることが、世界を変える道への一歩になるという彼らの言葉には、深い洞察が詰まっています。
著者プロフィール
著者の尹雄大さんは、神戸出身でテレビ制作会社を経てライターとなりました。彼の著書は多岐にわたり、身体と言葉の関わりにも興味を持っています。一方、イリナ・グリゴレさんはルーマニア出身の文化人類学者で、青森の地域文化を研究しています。彼女の研究は、特に女性の信仰や伝統に焦点を当てており、異文化理解に深く寄与しています。
終わりに
『ガラスと雪のように言葉が溶ける』は、読者に新たな視点を提供し、異文化交流の可能性を感じさせる一冊です。手紙を通じた相互理解は、言葉を超えた絆をも作り出し、心の交流を深める手段であることを教えてくれます。2025年の夏、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。