シネマ歌舞伎20周年を祝う中村鶴松の思い出
2025年、シネマ歌舞伎は20周年を迎え、特別な上映会が開かれました。このイベントには、歌舞伎俳優の中村鶴松が登壇し、記念すべき作品「野田版鼠小僧」について思いを語りました。この作品は、演出家・野田秀樹と十八世中村勘三郎がタッグを組んだ舞台で、2005年にシネマ歌舞伎第1弾として公開され、以来多くのファンに愛されてきました。
「野田版鼠小僧」の重要性
鶴松が子役として演じた「孫さん太」という役柄は、彼自身の歌舞伎俳優としての出発点となりました。当時、舞台に立ったことが彼の人生にとってどれほど大きな意味を持っていたか、彼は当時を振り返りながら語りました。「この舞台がなければ、今の僕はありません」と語る鶴松は、当時の心の葛藤や成長の過程を看到客に伝えました。
勘三郎との思い出
舞台挨拶では、当時の共演者であった勘三郎との貴重な思い出も披露しました。鶴松は「勘三郎さんはカーテンコールで毎回、僕を抱きかかえてくれました。2000人のお客さんの前で、まるで特別扱いをされているような感覚でした」と当時の感動を再現しました。また「ある日、挨拶を忘れてしまった時、勘三郎さんは『芝居が良ければそれでいいんだ』と言ってくれました。この言葉は今でも心に残っています」と、彼の言葉の重みを強調しました。
身近な中村屋の兄弟たち
中村屋の“兄弟”である勘九郎や七之助のことにも触れ、「今でも、当時のことを否定されることが多いです。特に、あの頃は褒められる子供役に嫉妬していたと思います(笑)」と、兄弟間の楽しいエピソードを紹介しました。登壇後の会場は笑いに包まれ、彼らの深い絆を感じることができました。
未来への展望
シネマ歌舞伎に関して、鶴松は「もっと古典の演目を映像化してほしい」と提案しました。「古典には実は細かな演技の決まりがあり、映像化することで新たな発見があると思いますので、ぜひ注目してほしい」と語りました。
最後に来場者に向けて感謝の言葉を述べ、「人生のターニングポイントとなった舞台を観てくださり、ありがとうございます。みなさんの応援が、僕のモチベーションです。今後とも中村屋をよろしくお願いいたします」と言葉を締めくくりました。
結び
この特別な上映会はただのイベントではなく、聴衆にとっても登壇者にとっても思い出深い、感動的な時となりました。中村鶴松の語った思い出の数々は、ファンにとっても多くの共感を呼び、これからのシネマ歌舞伎に期待を寄せることでしょう。