戦後80年 見えてくる外交官たちの役割
本日、新潮社から公開される書籍『外務官僚たちの大東亜共栄圏』は、戦後80年を経た今、エリート外交官たちの戦争責任を新たな観点から問う内容となっています。著者は駒沢大学の熊本史雄教授で、外務省外交史料館に勤務していた経験を持つ近現代史の専門家です。
本書では、これまでの「陸軍が暴走し、外交官がそのまま引きずられた」という一般的見解に一石を投じ、むしろエリート外交官たちが大東亜共栄圏を積極的に推進していた一因であることを具体的な史料に基づいて浮き彫りにしています。
エリートの思想と行動
書籍は、祖国の領土拡張を目指す外務省の外交官たちが、国家の利益を守るためにどのように動いたのかを具体的に描写しています。日露戦争を背景に権益を拡大し、様々な国際情勢の中での駆け引きや誤算を経ながら、大東亜共栄圏構想が形成されていく経緯を追います。著者は「小村寿太郎」や「幣原喜重郎」などの外交官たちの行動とその意図を解説し、リアルな外交の舞台裏を描き出しています。
多様な見解を求めて
熊本教授は、「外交が官邸主導となった現在、当時の外交官たちの主体性を再評価する必要がある」と語ります。これにより、読者は過去の外交官たちが持っていた思想や行動の多様性を理解できることでしょう。また、「大東亜共栄圏」というイデオロギーが現実の外交政策としてどのように形成され、実行されていったのかを知ることができるのです。
様々な視点からの考察
各章は、時代ごとの外交官の思想や行動を丁寧に解説しており、特に「東亜新秩序の可能性」や「大東亜共栄圏構想の実相」など、具体的な出来事に対する考察が続きます。また、外交官の意義や、戦争責任が現代にどう結びついているのかを読み解くことで、我々は自身の歴史観をも問い直すきっかけを得ることができるでしょう。
まとめ
この新著『外務官僚たちの大東亜共栄圏』は、我々に外交官たちが担っていた役割の重要性を再認識させる一冊です。戦後80年、今こそその歴史を振り返り、過去を見つめ直すことが求められています。熊本史雄教授の新たな視点が、これからの歴史や外交のあり方を考えるための重要な指針となることを期待しています。