森田富美子さん「わたくし96歳」の物語
2025年、長崎で被爆した森田富美子さんが、16年ぶりに故郷に帰る。91歳の時に始めたSNSアカウント「わたくし96歳」は、8万7000人を超えるフォロワーを擁し、彼女の人生や被爆体験が多くの人々に語り継がれている。富美子さんは1945年のあの日、16歳という若さで被爆した。彼女は実家から200メートルの距離にある工場で学徒動員されていたが、一瞬のうちに家族を失う経験をし、70年間その苦しい思いを抱えて生活してきた。
彼女が語り始めたきっかけは、2000年8月9日、当時の安倍首相の発言が原因であった。富美子さんは自らの体験を伝えなければならないと感じ、自らの被爆体験をツイートした。これが彼女の発信の始まりであり、そこから彼女は政治や日常の出来事についても積極的に発信し続けている。
書籍の発売と夢の実現
2023年に発行された書籍『わたくし96歳#戦争反対』は、彼女の長女、京子さんと共著で完成した。京子さんは、母の話を何度も聞き取り、富美子さんが経験した戦争の悲劇や彼女の生き方を詳細に綴っている。この本を通じて、富美子さんは「母が体験したことを直接感じてほしい」と願っていた。
本書には、彼女が爆心地から距離のあるトンネル工場にいた際、11時2分に何が起こったのかが生き生きと描かれている。爆発の衝撃で彼女たちはトンネルの奥に押しやられ、家族や町の状況を知るために駆け出した瞬間が詳述されている。この瞬間から始まる彼女の壮絶な旅路は、読者の心を揺さぶる。
「徹子の部屋」に初出演
富美子さんは、2025年8月15日に放送される『徹子の部屋』に出演することが決まり、夢が実現することに喜びを感じている。黒柳徹子さんとの対談を通じて、家出の経験や戦争に対する強い思いを語ることになるという。这セッションがどう展開されるか、多くの人々が注目している。
また、彼女は78歳の時に長崎を離れ、東京に移り住み、その生活の中で新しい人生を切り開いてきた。記憶の中の76年前の出来事を語ったり、SNSでの存在感を活かしたりする姿勢は、彼女に多くの支持を寄せる人々にとって新たな希望となり続けている。
イベント情報とファンの支え
8月10日、メトロ書店長崎本店では、富美子さんと京子さんのトークイベントが開催される。このイベントには多くのファンが集まり、彼女のお話を直接聞く機会となる。特に、彼女たちの誕生した町・長崎には特別な意味があり、ファンからの愛情に溢れた場となる。
富美子さんの物語や彼女が伝えたいメッセージは、年齢や時間を超えて多くの人々に響くことだろう。彼女の言葉には、戦争の悲惨さだけでなく、力強く生き抜く姿勢が詰まっている。そしてその言葉が、多くの人々の心に残り続けることでしょう。