新作『怪物』登場
2025-04-23 11:58:01

東山彰良の新作『怪物』が描く台湾の歴史と愛の物語

新作『怪物』の登場



直木賞作家・東山彰良が満を持して発表する長篇エンターテインメント小説『怪物』が、2023年4月23日(水)に新潮文庫から発売されます。本作は、東山が自身の感情や経験を込めた物語であり、主人公・柏山浩平には彼自身の姿が重なっています。

物語の舞台となるのは、東京で創作活動を行う台湾人作家・柏山康平。その叔父は、台湾空軍に属し、危険なスパイ活動を行っていました。しかし、彼は敵国・中国本土で撃墜され、厳しい状況の中で命がけで生き延びます。毛沢東政権下の中国で、彼は飢えと恐怖が支配する世界の中で辛くも生還し、最終的には香港を経て、台湾の地に帰る奇跡を果たします。

この実話からインスピレーションを受けた東山は、叔父のサヴァイヴメントを描くことで、彼自身の感情と向き合います。物語の進行と共に、柏山康平が国際的な評価を受け、台湾に凱旋した夜、彼は出版元の社員・椎葉リサと禁断の恋に落ちます。この二つの物語が交差し、過去と現代が響き合う中で、主人公の内なる怪物との対峙が描かれています。

また、本作では、台湾の風土や文化が丁寧に描かれており、中国大陸の雰囲気がリアルに表現されています。読者もその世界に引き込まれ、まるで自らが物語の一部になったかのような感覚を味わえることでしょう。

愛と逃避行の物語



『怪物』の魅力は、主人公の命がけの逃避行と、凛とした美しい女性との恋を描く部分にもあります。二人の運命が時として交錯し、時としてすれ違う中で、切なくも力強い感情が芽生えます。恋愛模様の中には、許されざる愛の試練や、運命に抗いながらも生き抜こうとする人間の姿が織り込まれています。

東山は自身の意見を次のように述べています。「主人公・柏山浩平には私自身が投影されています。この物語を通じて、私たちが普遍的に抱える問題や感情、そして、愛の力を描きたいと思いました。」
彼の言葉からは、作品に込められた強いメッセージが感じ取れます。

作家・東山彰良の軌跡



東山彰良は、1968年に台湾台北市で生まれ、9歳の時に家族と共に福岡県に移住しました。彼の作家としてのキャリアは2003年、「このミステリーがすごい!」大賞銀賞受賞作『逃亡作法 TURD ON THE RUN』でのデビューから始まります。その後も数々の賞を受賞し続け、2015年には『流』で直木賞を手にしました。

『怪物』は、彼の作家としての成熟と成長を示す作品であり、間違いなく彼の黄金期を告げる一冊となるでしょう。読者に深い感動と考えさせられる内容を提供するこの小説は、これからの季節にふさわしい、心に響く作品です。ぜひ、手に取ってその世界に浸ってみてはいかがでしょうか。


書籍データ


  • - タイトル: 『怪物』
  • - 著者名: 東山彰良
  • - 発売日: 4月23日
  • - 造本: 文庫版
  • - 定価: 1,045円(税込)
  • - ISBN: 978-4-10-120154-2
  • - URL: 新潮社


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