ダニエル・クレイグ主演映画『クィア/QUEER』とその原作について
ダニエル・クレイグを主演に迎え、ルカ・グァダニーノ監督が手がける映画『クィア/QUEER』が、2025年5月9日に全国公開されます。この映画はウィリアム・S・バロウズの自伝的作品を原作とし、切ない大人のラブストーリーとして描かれています。さらに、映画に先立ち、原作小説『クィア』が37年ぶりに復刊されることが決まり、注目が集まっています。
原作小説『クィア』の概要
ウィリアム・S・バロウズは、ビートニク文学の巨匠であり、またその代表作『裸のランチ』で知られています。彼の自伝的作品『クィア』は、1950年代のアメリカでの異端者たちを描いており、麻薬中毒者としての自らの体験を基にしています。バロウズがメキシコシティで出会った青年との恋愛と、その青年と共に幻の麻薬を追い求める旅を描いたこの作品は、作家が作り上げた初期の重要な文献です。
『クィア』は1984年に未発表原稿が発見され、その後1985年に出版されました。日本では1988年、訳者の山形浩生氏と柳下毅一郎氏によって『おかま』というタイトルで刊行されましたが、2025年4月8日に河出書房新社から新たに『クィア』として再発行されることになりました。この新装版は、2010年にアメリカで発表された「25周年記念版」を基にしたもので、訳文も見直されています。
映画『クィア/QUEER』の魅力
映画『クィア/QUEER』は、現代の視点からバロウズの複雑で色彩豊かな世界を映し出します。主演を務めるクレイグは、これまでのアクション映画とは異なる役柄に挑戦しており、その演技力が期待されています。映画はヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、すでに多くの話題を集めています。
また、原作小説とのリンクも注目されており、入念に描かれた恋愛模様やキャラクターの奥深さが、映画でもどのように表現されるのかが期待されています。
バロウズと彼の作品の意義
ウィリアム・S・バロウズは、アメリカ文学において重要な位置を占める作家です。彼の作品は、特に自己のアイデンティティを探る内容が豊富であり、同時に社会的なタブーについても触れています。『クィア』は、そうしたバロウズの苦悩や思いを色濃く反映しており、当時の社会でマイノリティとして生きることの難しさを描いています。
まとめ
映画『クィア/QUEER』が公開される前に原作小説『クィア』の新装版を手に取り、バロウズの世界観を詳しく味わうことは、作品に対する理解を深める良い機会となるでしょう。映画も原作小説も、ぜひご注目ください。