イタリアミステリ界の巨匠による犯罪小説「過去は異国」がベストセラーに！

溢れる魅力と深い陰影を持つ『過去は異国』

イタリア・ミステリ界の巨匠、ジャンリーコ・カロフィーリオの最新作『過去は異国』が本の雑誌による2025年度文庫ベストテンに見事に第3位に選出されました。元マフィア対策検察官であるカロフィーリオが自身の経験を基に描いたこの半自伝的犯罪小説は、既にイタリアでの10万部売上を誇るベストセラー。そして、バンカレッラ賞を受賞した名作が、日本でも待望の上陸を果たしました。

迫りくる危険と魅了するキャラクター

物語は1989年のバーリを舞台に、憲兵隊のキーティ中尉が連続レイプ事件を捜査しつつ、法学を学ぶ大学生ジョルジョが一変する運命的な夜から始まります。出会ったのは、謎めいた魅力を持ついかさまギャンブラーのフランチェスコ。彼に誘われたジョルジョは、ポーカーでの勝利と共に大金を手にし、華やかな刺激に陶酔していくのですが、その裏に潜む逃れられない転落が静かに進行しているのです。

金原瑞人氏は、この作品の魅力を「あるべき自分から少しずつずれて、やがて一気に堕ちていく恐怖を見事にとらえた犯罪心理小説」と高く評価しています。一瞬の楽しみと引き換えに大きな代償を支払うことになる主人公の姿は、多くの読者の心に深い印象を残すことでしょう。

著者プロフィールと翻訳者

ジャンリーコ・カロフィーリオは1961年にイタリア・プーリア州バーリで生まれました。組織犯罪の捜査を専門とする検事としての経歴を持ち、2002年に小説家デビューを果たします。その後、イタリア元老院議員を務める傍ら、創作活動も続け、ミステリ界を代表する作家の一人となりました。彼の作品は世界31カ国で累計700万部が発行され、特に「グエッリエーリ弁護士シリーズ」が主な代表作として人気を集めています。

本作の翻訳を手掛けたのは飯田亮介。日本大学国際関係学部を卒業後、イタリアへ渡り、さまざまな著名な作品を翻訳してきた彼の手腕により、カロフィーリオの独特の世界観を日本の読者にお届けしています。