阪本牙城の画業を網羅した初の企画展開催
東京都立川市に位置するたましん美術館では、2025年7月19日から9月28日まで、阪本牙城の画業を広く紹介する特別展『生誕130年 阪本牙城 タンク・タンクロー展』が開催される。これは、阪本牙城が残した貴重な作品や資料を一堂に集め、彼の魅力とその業績を深く掘り下げる初めての機会である。
「日本SF漫画の元祖」としての歴史
阪本牙城(1895-1973)、本名・雅城は、東京府多摩郡五日市町(現・あきる野市)で生まれた。彼の代表作『タンク・タンクロー』は、1934年に連載が開始され、「日本SF漫画の元祖」として漫画史に名を刻んでいる。丸い鉄球状の体に8つの丸窓を持つタンクローは、そこから武器や翼を発射し、悪党を退治するスーパーヒーローとして、戦前の子供たちに絶大なる人気を誇った。
本展では、阪本の画業の全貌を紹介し、特に漫画作品や水墨画を通して彼の多才な才能を堪能できる。また、タンクローの誕生やその影響に関する解説も行われ、彼が漫画界に与えた影響の大きさを再確認できるだろう。
初公開の資料や貴重な原画も展示
会場には、約200点の作品と資料が並び、タンクローに関連する漫画原画やアイデアノート、未発表の水墨画が展示される。これらの資料はすべて初公開であり、訪れるプラズマファンやアートファンにとって貴重な機会となる。
禅と水墨画に触れる
阪本は、戦後に帰国後、禅の教えに影響を受ける。この時期に描かれた水墨画は「雅城」と名乗るようになってからのもので、今展ではその数多くの作品も合わせて紹介される。禅の思想と彼のアートがどのように結びつき、彼の作品に独特な風格を与えたのかを感じることができるだろう。
参加型イベントも満載
展覧会だけでなく、来館者が楽しめる企画も用意されている。例えば、8月8日にはギャラリートークが開催され、著名な学芸員による展示解説が行われる。また、8月23日には子供向けワークショップ「まるで科学実験? キッチンリトグラフでタンクローの版画を作ろう!」が実施され、親子で阪本牙城の世界に触れる機会が設けられている。
展覧会の詳細
- - 会期: 2025年7月19日(土)~9月28日(日)
- - 会場: たましん美術館
- - 入館料: 一般500円、高・大生300円(中学生以下は無料)。
- - 開館時間: 10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
- - 休館日: 月曜日(祝日の場合、翌平日が休館)
この初の企画展は、阪本牙城の魅力を知る絶好のチャンスである。独創的な作品や水墨画に触れながら、彼の漫画が持つ普遍的なメッセージをぜひ受け取ってほしい。