新作小説『わたしは今すぐおばさんになりたい』の魅力
2025年12月10日、株式会社双葉社から南綾子の新作小説『わたしは今すぐおばさんになりたい』が刊行されます。輝かしいキャリアや魅力的な恋愛とは無縁の、ちょっぴり後ろ向きな主人公の響が描かれる本作は、年の離れた女同士の友情を通じて、人生の希望を見つける物語です。
主人公の響は、周囲の友人たちの成功や成長に取り残された気持ちを抱えています。仕事現場での不安や不満を抱える彼女が憧れるのは、社内の「庶務のおばちゃん」桜子。響は、桜子のなんとも自由で楽しいライフスタイルに心を惹かれます。必要以上に業務をしない彼女の姿は、響にとって一つの憧れの象徴です。この出会いが、響に新たな視点を与え、彼女の心の中で何かが動き始めます。
本作は、双葉社の文芸総合サイトCOLORFULで2024年から2025年にかけて連載されており、その間高いPV数を記録したことでも注目を集めました。特にNetGalleyでは、2025年の11月掲載作品ランキングでページビューランキング2位、レビュー数ランキング3位を獲得するなど、早くから話題に。発売前から多くの読者の期待を集めています。
読者モニターから寄せられたレビューも印象的で、共感を呼び起こす声が多いのが特徴です。「ああ、いいな。こんな生活送ってみたい」と語る感想もあり、響のキャラクターに共感する人が少なくありません。また、「独身を推奨するわけではないが、一生一人でもいいかなぁと思えてしまった」との意見もあり、彼女たちの自由な生き方に対する思いが伝わってきます。
文芸評論家の三宅香帆さんは、本作の帯推薦コメントを寄せています。「しんどくて、めんどくさくて、たいへんすぎる人生に、それでも生きのびる理由をくれる」と評し、南の作品が持つ力強さを強調しました。南綾子が描く、視点の異なる主人公たちの交流は、現代の女性たちに勇気を与えるのかもしれません。
南綾子は、2005年に「夏がおわる」でデビュー以来、多くの著作を発表。国内外で評価を受け、今回の新作もその集大成の一作となるでしょう。本書の製本は文庫版、336ページで価格は税込858円。ISBNは9784575528923。
輝かしいキャリアや恋愛に振り回されることなく、自分のペースで人生を歩む女性たちの物語は、心に響くものがあります。年の離れた友情が描くこの浮世離れした物語が、皆さんの人生観にどう影響を与えるのか、楽しみにしていてください。