『昭和たばこ図鑑』が語る、懐かしのデザイン
2025年の9月29日、昭和100年を迎えるにあたって、懐かしい昭和の「たばこパッケージ」を約300点集めた『昭和たばこ図鑑』が小学館から発売されます。この本は、監修を「たばこと塩の博物館」が手がけ、オールカラーの美しいビジュアルが満載。定価は税込み1870円で、B5判100頁のボリュームがあります。
昭和のたばこデザインとは?
昭和の時代は、製品や日用品のデザインが特に注目を浴び、特に「たばこパッケージ」は独自の魅力を誇っています。多くの著名なデザイナーたちがこの分野で活躍し、彼らによって生み出されたデザインは、今見ても色鮮やかで魅力的です。例えば、モダンデザインの先駆けである杉浦非水や、インダストリアルデザインの巨匠レイモンド・ローウィ、さらには戦後日本のデザイン界を牽引した田中一光など、彼らの作品が多く収められています。
本書では、1926年から1989年までのたばこパッケージの中から、印象的な約300点を厳選。小さなアートとしてのデザインの背後にある歴史を掘り下げ、読み応えのある内容となっています。
たばこの美しい広告デザイン
特に注目すべきは、「ハイライト」の広告ポスターです。1960年に発売されたこの商品は、グラフィックデザイナーでありイラストレーターでもある和田誠が手がけました。彼の洗練されたデザインは、瞬く間に販売数量世界一の座に押し上げられるほどの人気を博しました。
加えて、万博に協賛した際には特別なデザインが施されたパッケージが制作され、時代の流れを反映した広告戦略が展開されました。また、同じ時期に登場した「セブンスター」も、まさに競争の激しさを物語っています。
ドラマチックなデザインの裏側
さらに、『昭和たばこ図鑑』では、1951年にレイモンド・ローウィがデザインした「ピース」のプロトタイプ案も紹介されています。9種類のデザイン案から、あなたが当時の総裁だったならどのデザインを選ぶかを考えることができるのです。ドラマティックな「ピース」の誕生秘話や、当時のビジュアルを再現した記念アイテムなども多数収録されており、コレクターにはたまらない内容です。
戦前のたばこデザインの魅力
また、戦前に発売されたたばこパッケージの中には、人気アニメ『アンパンマン』の原作者やなせたかしとの意外な関係がある「ゴールデンバット」などが含まれています。こうしたエピソードが、ただのデザインだけではなく、当時の文化や人々の生活をも映し出しているのです。
カラフルでデザイン性に優れたたばこパッケージは、当時の人々にとって日常の一部として存在し、多くの思い出を刻んでいます。この『昭和たばこ図鑑』を通じて、昭和の香り漂うデザインを再発見し、懐かしさに浸ってみてはいかがでしょうか。昭和のたばこデザインが持つ美しさに触れることで、あの時代の価値観やスタイルを知ることができるでしょう。