医療ミステリーの新たな扉を開く!
エドガー賞新人賞にノミネートされた『裁きのメス』が、新潮文庫から本日リリースされました。著者はリツ・ムケルジ、翻訳は小西敦子が手掛けています。本作は1865年、南北戦争が終戦したばかりのアメリカ・フィラデルフィアが舞台です。
物語の中心にいるのは、女性医師リディア。彼女は当時としては珍しい女子医科大学の教授であり、解剖のメスを巧みに使いこなします。しかし、リディアはその医療の現場で次々と訪れる死と向き合わなければなりません。彼女は栄養失調や衛生状態の悪化により貧しい人々が病に倒れる姿を目の当たりにし、医療教育のための夜間塾を開講します。
その夜間塾の教え子であり大切な友人でもあるアンナが行方不明になります。数日後、郊外の川で彼女らしき年若い女性の遺体が発見され、この事件はリディアを新たな探求へと駆り立てることになりました。遺体の発見と同時に、被害者の部屋から高価な手帳が発見され、その内容から交際相手の存在も浮かび上がります。
リディアは警察と協力し、医学や科学の知識を駆使して事件の真相を追求します。だが、思いも寄らない様々な真実が立ちはだかり、事件は二転三転することでしょう。リディアが追うのは、消えたメイドの謎や、水死体の背後に隠された秘密、さらには彼女自身が直面する危険です。
解剖学とサスペンスが織り成す物語
本書は、医療ミステリーというジャンルを通じて、女性の医師が直面する困難や、彼女が解き明かしていく謎を描いています。リディアの決意と知恵が、事件解決のカギとなるでしょう。そして、彼女が自らを脅かす暴力に対してどのように立ち向かうのか、目が離せません。
リツ・ムケルジさんは、インド生まれでサンフランシスコで育った後、コロンビア大学で歴史学を学び、さらにフィラデルフィアのトーマス・ジェファーソン大学で医学の学位を取得した経歴を持つ作家です。また、彼女は内科医として15年間の実務経験も有しており、その知識が本作に色濃く反映されています。
翻訳を手掛けた小西敦子さんは、東京女子大学で哲学を学んだ後、出版社に勤務し、翻訳家への道を歩みました。彼女の手により、リツ・ムケルジの巧みな筆致が日本語に息を吹き込まれています。
書籍情報
- - タイトル: 裁きのメス
- - 発売日: 2025年6月25日
- - 著者: リツ・ムケルジ
- - 価格: 1100円(税込)
- - ISBN: 978-4-10-240961-9
- - URL: 新潮社公式サイト
この魅力的な医療ミステリーを、ぜひ手に取ってみてください。リディアの推理と情熱が繰り広げる新たな世界が待っています。