谷崎潤一郎の生涯を紐解く特別展「文豪は戦の間に咲く」

秋の特別展「文豪は戦の間に咲く」

今年の秋、特別展「文豪は戦の間に咲く―谷崎の戦争と平和」が開催される運びとなりました。この展覧会では、著名な作家である谷崎潤一郎の生涯や作品を通じて、戦争と平和がどのように絡み合っているのかを探ります。明治期に生まれた谷崎は、当時の日本社会のさまざまな変化を目の当たりにしながら成長しました。

東京で生まれた谷崎は、「脱亜入欧」の理念が象徴する明治時代に影響を受け、国際的な視野を持つようになります。20代で文壇デビューを果たし、彼の作品は、経済的繁栄と同時に進展した近代化の中で、多くの人々に支持されました。

本展では、彼の代表作「細雪」がいかにして、当時の日本や世界の変化を家族の日常の中に捉えたかを検証します。特にこの作品は、日本と中国との間に起こる戦争の前夜に位置しており、戦後の平和な時代の中での人々の穏やかな日常を描いています。

さらに、谷崎はこの作品を通じて、家族の絆や日本人の美徳を表現し、普遍的な価値に昇華させました。その作品世界は、戦争という悲劇とは無縁の内面的な安定を求めるものであり、戦争と平和の狭間で揺れ動く日本社会を深く映し出しました。

この特別展では、文豪谷崎の作品の中にある「戦争と平和」というテーマについて多角的にアプローチし、彼が如何にしてその豊かな作品世界を構築したのかを明らかにします。