農家の声が反映される米の適正価格に迫る!リアルな現状とは
「令和の米騒動」という言葉が世間を賑わせる中で、私たちは農家の本音、つまり彼らの声がどれほどお茶の間に届いているのか再考する必要があります。最近の報道では、米の適正価格や消費者にも納得のできる価格が求められていますが、本当のところ、農家の現実はどうなっているのでしょうか?
実は、『現代農業』編集部には直売所やネットで農産物を販売している農家からの問い合わせが急増しています。彼らは「秋から米の価格が上がってくる。でも、これまでの顧客のことを考えると大幅な値上げには踏み切れない」といった声を寄せています。このような状況下、農家が誇りを持って米作りをすることが重要であり、結果的に新しい農業に挑戦したい若者が増えるきっかけになるという意義もあります。
われわれが知らない米の値段の実状
「米が高騰している」と聞くと、575kgの米を4000円台で販売しているという話が聞こえてきます。しかし実際には、米価の推移を35年分、振り返ると、昔と同じ水準に戻っているとも言えます。ここ20年の米価に慣れ親しんできた私たちにとって、この高騰は驚きを持って受け入れられているのかもしれません。その一方で、20年にわたる低米価で農家は辛い時期を耐え忍んできた事実も見逃せません。
適正価格を探るための農家アンケート
今回は、過去の特集にも登場した約40名の農家に対して緊急アンケートを実施しました。問われるのは、「地域の特性や販売方法に応じた、わが家の適正価格は何か?」ということです。また、米づくりにかかる具体的な経費についても計算してもらいました。
例えば、新潟の小規模農家である鴫谷幸彦さんは、自分と家族の生活を考えた際に「年収400万円」、さらに自分の時給を設定し、農作物の価格に反映させています。設定した時給は2000円で、年間で作業にかけられる時間は2000時間前後です。この場合、小規模農業でも黒字を維持できることを証明しています。このように、彼らが自らの作物に値段を付ける基準を持つことが、米価の安定に繋がります。
地域の農家 ごとの多様性と価格の考え方
さらに、福島の薄井吉勝さんはご飯1杯の価格から逆算し、消費者にとってわかりやすい適正価格を提示。小規模農家でも持続可能な価格設定をしており、それぞれが「持続可能と感じられる価格」を志向しています。実際の反響として、慣行栽培であれば農家価格で1俵(60kg)あたり2万から2万5000円、店頭では白米5kgあたり3300円から4000円が適正価格として示されています。
農家の現場から見えてくる米騒動
特集記事には、直売所での顧客の注文や買いあさりに追われる農家や、88歳の高齢農家の「まだ頑張る」という言葉が散見されます。また、茨城の松崎栄一さんは「主食用米が高騰しても飼料米を作り続ける」と公言しており、地域の若い畜産農家と連携し、農業の連携によって生きていくことの重要性を語っています。
関係性の米価の重要性
現在、消費者と生産者の関係性をどのように築けるかが問われています。「商品としての米価」と「関係性の米価」という2つの視点があります。長期的な視野で見つめれば、農家が自ら価格に根拠を持つ限り、値段の乱高下が少なくなるでしょう。これからも農家が消費者を思い、逆に消費者も農家と地域を思いやることで、関係性の米価を実現していける可能性があります。
生産者がしっかりと育ててくれるお米を意識することで、未来の農業や食文化に新たな出発点を見出すことができるでしょう。今後とも、ぜひ『現代農業』の情報に注目してください。特集号は、7月4日より全国書店やネットで手に入ります。