児玉雨子の最新小説『目立った傷や汚れなし』が刊行決定
昨年、その圧倒的な内容で第169回芥川賞の候補作として注目を集めた児玉雨子さん。彼女の待望の新作が、2025年10月24日に河出書房新社から発刊されます。タイトルは『目立った傷や汚れなし』。今回の作品も、社会の現実に刮目し、消費者文化を切り取った意欲的なノンストップ転売ストーリーです。
新たな進化を遂げたストーリー
本作『目立った傷や汚れなし』は、主にフリマアプリを舞台にした物語です。主人公の翠(すい)は、夫の休職をきっかけに体験した新たな生活の中で、フリマアプリ「メチャカイ」を利用して小さな万引きを重ねながら、徐々に転売にハマっていきます。その中で彼女は、偶然の出会いから「せどりサークル」に参加し、自らの消費行動が引き起こす葛藤と向き合うことになります。
物の価値を見抜くことに喜びを見出す一方で、無駄に浪費する夫への心の苦しみも描かれ、作品は見る者に強烈なメッセージを投げかけます。作中で繰り広げられるのは、買うことから売ることへの移行。これにより、現代社会における女性たちの立ち位置が問い直されるのです。
読者の心を掴む強烈なテーマ
本作は、ただの転売ストーリーにとどまらず、資本主義への反乱や、女性の自立、そして人間関係の価値観の変化といったテーマに深く切り込んでいます。読者は、モノの価値が見直されることで、自らの存在価値にも疑いをかけられるという、そんなヒリヒリとした感覚を味わうことになるでしょう。
著者の児玉雨子さんは、共感できる現代の悩みや葛藤を的確に捉え、読者にその感情を届ける力を持っています。「買う女から売る女へ」というキャッチコピーが象徴するように、女性たちの変革を描くことで、物語はより普遍的なメッセージを持つことになりました。
書店員たちの推薦の声
『目立った傷や汚れなし』はすでに多くの書店員から高い評価を受けています。紀伊國屋書店の宗岡敦子さんは、「私たちの生活に密接した風刺小説」と述べ、物の最終的な行き着く先を見つめたラストに感動したと語ります。TSUTAYAの渡部知華さんは「自分の価値まで問われているような作品」と絶賛。また、正和堂書店の猪田みゆきさんからは、「友情も愛情も商売も憎まれることになるのは同じ」との鋭い視点が寄せられています。
これらの声からも、作品が引き起こす波及効果が既に期待されていることが伺えます。
読者の期待を超える刊行記念イベント
新作刊行を記念し、芳林堂書店高田馬場店ではサイン本キャンペーンを開催中です。指定のフォームからオンライン申し込みを行えば、作家のサイン入り本を手に入れるチャンス! また、11月に横浜、12月には東京にて開催予定のイベントも要注目。詳細は河出書房新社の公式サイトで随時更新されるとのことです。
公式サイト:
河出書房新社HP
児玉雨子が描く新たな物語
児玉雨子さんは作詞家としても多くのヒットを生み出しており、その視点から渦巻く消費の世界をリアルに表現する才能が光ります。彼女の作品は単なるエンターテインメントに留まらず、私たちに現代社会のリアルを示す鏡でもあります。最新作『目立った傷や汚れなし』は、そんな彼女の視点から描かれる必読の作品となっているのです。