河出真美賞が新たに設立される
2025年8月6日、大阪の梅田 蔦屋書店にて、文学コンシェルジュの河出真美が新しい文学賞「河出真美賞」を創設したことが発表されました。この賞は、過去半年間に出会った文学作品の中から、自分が心から推したい新作・旧作を選出するというユニークなコンセプトを持っています。文学作品は年々多様化していて、どの本が本当にお勧めできるのか、河出氏の思いが試される時代です。
芥川賞・直木賞が該当作なし
2025年7月16日に行われた第173回芥川賞と直木賞の選考では、まさかの「該当作なし」の結果が発表されました。これは、実に27年ぶりに起こった異例の出来事です。両賞は毎年多くの期待を集めるため、その発表は特に注目されます。このニュースがSNSを賑わせる中、書店員たちは新たな試みとして候補作を集めた独自の受賞作を選ぶなどの活動を行っています。
個人文学賞の必要性
河出氏は、この背景を受けて、何かアクションを起こす必要があると痛感しました。そして、全国の書店で人気の個人文学賞に目を向けました。書店員自らが「これは!」と思う一冊を選び、自らの名を冠した賞を授与する試みは、すでに高知のTSUTAYA中万々店での「山中賞」等、成功を収めています。これに触発されて、河出氏は自身の文学賞を設立することを決意しました。
河出真美賞誕生の背景
「本当に売りたいと思う本、いいと思う本を、こんなふうに多くの人に届けたい」という強い思いから、河出氏は選定基準を明確にしました。それは、心から推薦したい本であること、そして多くの人に読んでもらいたいという熱い思い。旧作・新作問わず、文学の幅広さを存分に享受してもらいたいとの願いです。
第一回受賞作『レモネードに彗星』
そして、初回の受賞作品として選ばれたのは、灰谷魚の短編集『レモネードに彗星』です。2025年7月に刊行されたばかりのこの作品は、幻想的な要素が盛り込まれた内容が魅力です。個性的なストーリーが収録されており、例えば、スカートと体が一体化してしまう「スカートの揺れ方」や、友だちが浮かび上がる「かいぶつがあらわれた」など、思わず引き込まれるようなエピソードが詰まっています。
特に印象的な「新しい孤独の様式」では、現実的な障壁を持ちながらも美しい関係性が描かれ、読者を全く新しい世界へと誘います。読んでいると、これまで体験したことのない新しい感覚を抱かせられ、次々とページをめくりたくなる魅力があります。
河出真美賞の展開
この「河出真美賞」の受賞作は、梅田 蔦屋書店にて特設売場として展開される予定です。文学の新しい潮流を生み出すこの賞は、今後も毎年夏と冬の年2回、受賞作を発表し続ける計画がされており、文学ファンからの注目が集まることでしょう。
河出真美さんについて
河出氏は、東北出身で大阪に移住し、語学に堪能なだけでなく、映画にも幅広く詳しい方です。自身の文学活動だけでなく、多くの書評やイベントにも出演するなど、文学界への貢献度は高いです。これからも注目の文学コンシェルジュといえるでしょう。
文学の新たな章を開く「河出真美賞」に、ぜひご注目ください。