戦前から戦後にかけての歌舞伎の歴史が明らかに
2025年8月27日、株式会社河出書房新社から新たに発表されるのは、岡﨑成美による演劇ノンフィクション『戦下の歌舞伎巡業記』です。これは、戦前から戦後にかけての歌舞伎の世界を詳細に記録した一級の史料を元にした作品であり、多くの歌舞伎ファンや演劇関係者にとって、手放せない一冊となることでしょう。
歴史の発見
本書の発端は2018年に遡ります。岡﨑成美さんは自宅で祖父が残した古い茶封筒の中から、一冊の冊子『旅行日誌』を発見しました。この日誌は、岡﨑さんの祖父である竹柴薪助氏が1949年までに記した、歌舞伎の巡業記録です。この記録には、六代目尾上菊五郎を始めとする名優たちと共に歩んだ17年間の苦難と喜びが克明に記されています。
壮大な巡業の記録
竹柴氏が記録した巡業地は、北海道から九州に至る約250の場所で、移動距離はなんと約4万キロメートルにも及びます。記載されている情報は多岐にわたり、座頭役者、女形、演目、興行主、劇場名、宿泊先、さらには交通手段や食事の内容に至るまで、詳細に記されています。この貴重な記録は、演劇史や歌舞伎の発展を知る上で欠かせない貴重な資料として評価されています。
実証的な研究と解説
岡﨑成美さんは、長年にわたって編纂と研究を重ねた経験を活かし、膨大な周辺資料の調査を行っています。全国紙や地方紙、演劇誌、専門書、さらには鉄道のダイヤや地図、チラシまで、多角的に情報を収集。これにより『旅行日誌』の記録は、単なるデータではなく、当時の人々の生活や感情に息を吹き込む物語として立ち上がります。特に、歌舞伎に対する深い理解をもって書かれた解説は、読者にとって新たな発見となるでしょう。
胸を打つストーリー
『戦下の歌舞伎巡業記』は、単なる史料としての価値だけでなく、戦争という困難な時代を生き抜いた演劇人たちの熱い情熱や心の葛藤を伝えています。歌舞伎に命を懸けた人々の物語が明らかになることで、多くの人々に感動と共感をもたらすことでしょう。
まとめ
この作品には、当時の歌舞伎の現場で起きた出来事や、名優たちの奮闘が色鮮やかに描かれています。歌舞伎ファンや演劇人にとって必読の一冊として、ぜひ注目していただきたい作品です。再び、戦中・戦後の歌舞伎の魅力を知ることができる『戦下の歌舞伎巡業記』の発売は、私たちに新たな視点を提供してくれます。ぜひ手に取って、その歴史的な価値をご自身の目で確かめてください。