医療的ケア児と家族に向けた特別な映画体験
NPO法人AYAは、医療的ケアが必要な子どもたちとその家族が映画を楽しむための特別上映会『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』を全国各地で開催しました。このイベントは、映画館での鑑賞にハードルを感じていた多くの家族に劇的な体験を提供し、総勢5,082名の参加者を迎えることができました。
開催の背景と意義
医療的ケア児とは、日常生活を送る上で特別な医療的サポートが不可欠な子どもたちを指します。厚生労働省の実態調査によれば、日本全体で約2万人がこの状況にあるとされています。NPO法人AYAは、「スポーツ・芸術・文化を通じて、子どもたちの世界観を広げる」という使命のもと、こういった子どもたちとその家族に様々な機会を提供しています。
このプロジェクトの源は、映画館で映画を楽しみたいという医療的ケア児の家族から寄せられた切実な願いです。彼らは映画館での鑑賞が困難であるという不安を抱えていました。映画を見るという普通の体験が、なぜ彼らにとっては難しいのか。周囲に迷惑をかけるかも知れないという恐れや、医療機器の音が場にふさわしくないのではという懸念が、多くの家族を映画館から遠ざけていました。
安全な環境での映画鑑賞
AYAは、映画館を完全に貸し切ることにより、子どもたちが安心して映画を観られる環境を整えました。医療従事者が会場内で常駐し、緊急時にも適切に対応できる体制を築くことで、映画館側の不安要素を取り除きました。その結果、すべての家族がリラックスして映画を楽しむことができました。
全国22カ所での開催
上映会は、2025年春に向けて全国各地の22会場で実施され、最終的に25回の上映会が行われました。特に、参加者からの反響は熱く、「春休みの素敵な思い出ができた」や「映画を楽しむことで可能性に気づいた」など、多くの感謝の声が寄せられました。
具体的な上映会の数と参加者数は以下の通りです。
- - 3月22日:イオンシネマ幕張新都心(127名)
- - 4月6日:イオンシネマ岡山(178名)
- - 5月11日:TOHOシネマズららぽーと横浜(431名)
- - 6月1日:TOHOシネマズ甲府(244名)
など、詳細にわたるスケジュールが組まれ、多くの地域で喜びの体験が数多く生まれました。
参加者からの感想
参加した家族からは、実際に感じた充実感や感動の声が続々と寄せられています。ある家族は、「映画館で映画を観ることは夢だった」と語り、別の方は「息子が周囲を気にせずに楽しめた」と喜びを伝えています。その中には、自身が抱えていた不安が今回の経験で払拭されたという声も多く、家族全員が満足した様子が伺えます。
中川悠樹代表の思い
NPO法人AYAの代表である中川悠樹医師は、今回の上映会の成功を受けて「参加者の笑顔を見られることが、私たちの活動の一番の励みです」と述べました。これまでの開催実績を基に、さらに多くの場所で、このような体験を提供できるよう活動を続けていく意向を示しています。
終わりに
この特別上映会は、多くの医療的ケア児とその家族にとってかけがえのない経験となりました。AYAの活動によって、今後もさらなるエンターテイメント体験が全国で展開されることが期待されています。これからも、多くの子どもたちに幸せな時間がもたらされることを願ってやみません。