千早茜の『しろがねの葉』がついに文庫版として登場
2023年1月に第168回直木賞を受賞した千早茜の注目の作品、『しろがねの葉』が2025年6月25日(水)に新潮文庫からリリースされます。この小説は、今や世界遺産に認定された石見銀山を舞台に、戦国時代末期に孤独を抱える少女ウメの波乱に満ちた人生を描いたものです。著者にとって初めての歴史小説であり、受賞に際しては選考委員たちからも高い評価を受けました。
話題の表紙デザイン
本作のカバーには、単行本と同様に銀を吸い込み光り輝く羊歯の葉が大胆に描かれています。使用された銀色のインクは、石見銀山に生育する羊歯の独特な美しさを巧みに表現。冊子を手に取った際には、ぜひさまざまな角度からその魅力をお楽しみください。
巻末には著名な作家、北方謙三が解説を寄せており、千早茜のデビュー作『魚神』を選考した経験から15年間の成長をどのように捉えたか、作品と作家の両面での分析が非常に興味深い内容になっています。
物語の概要
『しろがねの葉』は、「銀(しろがね)の光を見つけた者だけが、この地で生きられる」という根底のテーマを持っています。物語の中では、ウメという少女が父母とは生き別れ、知恵と勇気を持る山師・喜兵衛に助けられて、石見銀山の坑道で働き始める様子が描かれています。
彼女は深い闇の中で恐れと憧れを感じつつも、女性にはその居場所がないという厳しい現実に直面しています。ウメの思い入れが深い喜兵衛や共に育った隼人に対する羨望は、読者に彼女の心情をリアルに伝えてきます。シルバーラッシュが進む中で、男たちの身体が次第に蝕まれていく様子は、生きる苦悩や人間の官能を美しく描写しています。
千早茜の軌跡
千早茜は1979年に北海道に生まれ、立命館大学を卒業。そして幼少期をザンビアで過ごすというユニークな背景を持っています。2008年には『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、華々しくデビュー。その後も圧倒的な筆力で多くの文学賞を受賞しています。直近では2023年に『しろがねの葉』で直木賞を受賞し、更なる高みへと駆け上がっています。
彼女の作品は他にも『男ともだち』『クローゼット』『グリフィスの傷』『雷と走る』に加え、『わるい食べもの』シリーズといったエッセイも含まれており、多彩なジャンルでの執筆を行っています。彼女の物語に触れることで、多くの読者が新たな視点と感動を得ることができるでしょう。
書籍詳細
- - タイトル: しろがねの葉
- - 著者名: 千早茜
- - 発売日: 2025年6月25日
- - 価格: 880円(税込)
- - ISBN: 978-4-10-120384-3
新しい読書体験を提供する『しろがねの葉』、ぜひお手に取ってその魅力を体感してください。