新たな視点で学ぶ日本の礼儀作法―『復刻版国民礼法』の魅力

新たな視点で学ぶ日本の礼儀作法

最近、GHQが廃止した小学生用の礼法教科書『国民礼法』が再版され、注目を集めています。この重版は、教育現場や家庭での礼儀作法の重要性を再確認するきっかけとなるでしょう。著者は礼法教育研究会で、解説を動物行動学研究家の竹内久美子氏が担当しています。

歴史的背景

日本の戦後教育は、軍国主義的な思想を排除する目的で、さまざまな教科が見直されました。その一環として廃止された「修身」の授業と共に、当時の「国民礼法」も消えていきました。戦時中は、国民学校の初等科のすべての学年で修身教育の一環として取り入れられていました。

本書は、三年生から六年生用の「国民礼法」を一冊にまとめており、戦前から戦後にかけて、礼法指導の立場にあった徳川義親侯爵が関わっていたことが特徴です。彼は自身の母から受けた厳格なしつけを元に、後の女学生たちに同様のしつけを施す家庭婦人を育てたいと願っていました。その思いが具体的に反映されている点も、この教科書の魅力です。

礼法の内容

『国民礼法』は小笠原流礼法を基にした武家の礼法でありながら、堅苦しさは感じられません。小学生向けに書かれているため、理解しやすい内容になっています。特に、戦後の教育で忌避されがちだった皇室、神社、国旗、国歌に対する礼法を新しい視点で学べる点が、新しい時代の日本人にとって大変意義深いものとなるでしょう。

また、同時に復刊された教材には、小学1、2年生向けの『こどものしつけ』、高等女学校向けの『女子礼法要項』もあり、これらもまた礼儀作法を学ぶ際に役立つ内容が収められています。従って、これらの書籍は家庭や学校でのしつけにぜひとも取り入れたい資料です。

令和の時代における礼法教育

令和という時代の中で、国民が長幼の別なくコミュニケーションを取るための基本的な礼儀作法を学ぶことがさらに重要視されています。現在の日本社会においても、人と人との関係性を重視する中で、礼儀やマナーは依然として必要不可欠な要素です。

そのため、この教科書は単なる過去の歴史的資料ではなく、現代の我々にとっても有意義な学びの場を提供してくれる作品として再評価されています。これからの教育において、どのような役割を果たすのか注目されるでしょう。