間宮改衣の新作『弔いのひ』が遂に登場
作家・間宮改衣がその代表作である『ここはすべての夜明けまえ』の成功から僅か数年で、彼女の新たな作品『弔いのひ』を本日リリースしました。本作は、彼女が“再誕生作”と位置づけている重要な一冊です。
物語は、病でこの世を去った父との心のマトリックスを軸に展開されます。娘と心を通わせることができなかった父親が残したものとはどのようなものなのか。そして、作家となった娘がその思いを「お金に換える」ことにした意図は何なのか。
心の痛みを抱えながら
2024年にデビュー作である『ここはすべての夜明けまえ』が鮮烈なインパクトを与えた間宮改衣は、すぐに名を馳せました。しかし、華やかなデビューの裏側では、彼女は深刻なうつ状態に陥っていました。この暗い道のりは、次の作品に向けてのプレッシャーや期待が原因でした。
別の出版社から依頼された中編小説の執筆が進まない日々。そして迎えたある打ち合わせで、彼女の中で何かが変わります。ふと口にした「父のことを書きたい」という言葉が、彼女を私小説という新たなジャンルへと導きました。
私小説への挑戦
過去に対峙することで、彼女自身が何を得るのか。両親は不調和で、父が癌を患ってからは、一家は分かれて暮らし、彼女は父親の最期にまで帰れなかった記憶が蘇ります。ここで重要なのは、作家としての活動をしている中で、「書くこと」がどのように彼女に救済をもたらすのかです。
彼女は過去を振り返るだけでなく、その過去に対しての道筋をつけるという目的を持っています。書くことで、「落とし前を付ける」ことができるはずです。『弔いのひ』は、彼女の先行作品に隠された痛みを赤裸々に描き、作家としての強烈な覚悟が感じられる力作です。
間宮改衣とは?
間宮改衣は、大分県出身の新進気鋭の作家で、1992年に生まれました。2023年には『ここはすべての夜明けまえ』によって、晴れて第11回ハヤカワSFコンテストにて特別賞を受賞し、その翌年には第37回三島由紀夫賞にノミネートされました。その作風は、繊細ながらも迫力を持ち合わせており、読者に強い感情を呼び起こします。
書籍情報
- - タイトル: 弔いのひ
- - 著者名: 間宮改衣
- - 発売日: 2025年12月17日
- - 造本: 四六判ハードカバー
- - ページ数: 160ページ
- - 定価: 1,870円
- - ISBN: 978-4-10-356611-3
- - URL: 新潮社書籍ページ
『弔いのひ』は、間宮改衣自身の人生と向き合う作品です。彼女の新たな挑戦を、ぜひ手に取って体感してください。